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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 58


「あぁ、そこなら知っとるで」
「そうか!じゃあ頼むぜ、ライラ」
都合の良い事にライラも沼の場所を知っていたため、案内役を探す手間が省けた。
「その代わり条件がある。ウチの手錠と分銅、もう外してくれてもええやろ?これ取ってくれたら案内したるわ」
「鍵が無えよ。城に置いて来ちまった」
「私、合い鍵持って来ました」
「サフィア、お前…!」
サフィアはライラの手枷足枷を鍵で外しながら言った。
「大丈夫、ライラさんは逃げたりしませんよ〜。ね、ライラさん?」
「あ…ああ!当たり前やないか!」
まるで内心を見透かされたかのようなその言葉に戸惑うライラ。実は鎖が外れた瞬間に全力で逃げようとしていたのだ。
「まあ、サフィアがそう言うなら信じてやるか」
ガチャ!
「はい、取れましたよ」
「お前にはホンマかなわんなぁ…おおきに、サフィア。ついでにアルスもな」
「ついでかよ」

ドンが言った通り、その洞窟は村から少し行った所にあった。入口には綱が張ってある。
「村のガキ共が入らんようにな」
ライラは綱をくぐり抜ける。アルスとサフィアも後に続く。
「暗いな…明かりを持ってくりゃ良かったぜ」
「道も凸凹で表面ヌルヌルしてますから気を付けないと…キャ〜ッ!!」
サフィアは足を滑らせ尻餅をついた。
「い…痛いですぅ…」
「大丈夫かぁ〜?」
「しっかりしろよ」
天然の洞窟というのは道らしい道も無く、文字通り穴蔵の中に入って行くようなものだ。何の装備も無しに入洞すれば最悪遭難する場合もある。
「見てみ、あれや…」
ライラが指差した先には満々とたたえられた銀色に光る水があった。
「やっぱりそうでしたかぁ〜」
それを見たサフィアの顔がパァっと明るくなる。
「サフィア、何なんだ?アレ」
「水銀です」
「…スイギン?」
「はい、医療や装飾に役立つ大変貴重な物です。通常は鉱石の形で取れるのですが、ごく稀にこのように液体の状態で存在していて…」
「つ…つまり何なんだ?」
「これをお医者さんやお薬屋さんや塗装屋さんに売れば大儲けが出来るのです」
「「マジか!?」」
ハモるアルスとライラ。
「液体水銀がこんなに大量に見つかるなんて、本当に珍しい事なんですよ〜?はっきり言って凄い幸運です」
「へぇ〜…この毒沼、そんな価値あったんか…」
「あぁ…サフィア、やっぱりお前を連れて来て正解だったぜ!エキサイト…だっけ?…なぁんて俺だったら絶対気付かなかったもんなぁ!」
「液体水銀です、アルスさん」

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