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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 57

「…で、一体何の用や?」
「俺は領主になったんだが、この辺の事が良く分からねえ。だから自分の足で調べて回ってるのさ」
「領主やて?北方人の国ではお前みたいなガキでも一州の長になれるんかい」
「そりゃあお互い様だろうよ」
次の瞬間、ドンは傍らに置いてあった山刀を手に取り、アルスの喉元に突き付けて言った。
「小僧…領主だか何だか知らんが、ここにおる限り北方人の秩序は及ばんのや。この村の中ではワイが一番偉い。分かるな?」
「うーん…」
「分かったなら返事をせい!」
「分かった!」
「ほうか、ならええ…」
「いや、アンタのその声、どっかで聞いた覚えがあると思ってたんだが、お前、俺達を襲った盗賊団の親分だろう?」
「だったらどないやっちゅうねん!!」
ドンは声を荒げる。サフィアは「あらあら〜」と言いながら他人事のように事の成り行きを見守る。
「あんた、落ち着きや」
それまで黙っていたエイラが口を開いた。
「あ…あぁ、ワイとした事が、つい熱くなってもたわ」
冷静さを取り戻すドン。どうやらエイラはドンのブレーキ役も兼ねているらしい。
「すんまへんなぁ、この人はすぐに熱くなるさかいに…」
「良いよ、良いよ。ありがとな、奥さん」
アルスはエイラに礼を言いながら、視線は彼女の胸…ライラをも上回る爆乳の方に注がれていた。ドンは言った。
「お前がこの辺を調査に来たちゅうのは分かったわ。でも残念やったな。秘密の財宝でも期待してたんか知らんが、この密林にはお前ら北方人が喜ぶような物は何も無いで」
「マジかよ、本当に何も無いのか!?」
「あぁ、村がいくつかあるだけで後はどこまで行っても密林だけや。ワイらのように土地を追われて移住して来た者の村がここの他に2つ。更に奥に昔からあった村が5つある」
「それだけか…」
アルスは落胆した様子で溜め息混じりに呟いた。
「本当に他には何も無いのか?」
「近づいちゃならん洞窟が二つある。毒の沼の洞窟と幽霊の洞窟や」
「毒の沼?」
その言葉に反応したのは意外にもサフィアだった。
「それは、一体どういう沼なんですか?」
「その沼の水は暗い洞窟の中でも銀色に怪しく光るんや。ワイも一度見たが、あんな不気味な物は無いで。ある時バカが度胸試しや言うて手ですくって飲みよってん。可哀想に、一口飲んだだけで死んでもうた」
「それは、もしかしたら…お願いします。私をそこに案内してください」
「まぁ、沼はここからそう遠くはないし…ええで。村の者に案内させたるわ」
「おいおい、サフィア。毒の沼なんかに興味あるのか?」
「はい。これはもしかすると毒どころかお宝かも知れませんよ〜?」

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