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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 56

「みんな、こいつの言うと事は本当や。でも仲間達がこいつの砦に捕らわれとる。ここはとりあえず酋長に会わせたってくれ」
「う〜ん…姉ちゃんがそう言うならしゃあないわ。ちいと待っとれ。みんな、行くぞ!」
ライラの説得でやっと信用した子供達は一番大きな建物…すなわち酋長の家へ向かった。

三人の周囲には村人達が集まって来た。人々は老若男女を問わずフンドシのような腰布一枚、女性は乳房も隠さず丸出しにしている。子供に至っては全裸だ。ライラが裸にされても、さほど恥ずかしがらないのも納得出来る。してみると襲撃時に着ていた毛皮の服は防御防寒のためだったのだろう。
「あ…ライラやないかい!」
「一緒におるんは北方人かいや!?お前、いつからヤツらの味方や!?」
「ちゃうちゃう!ウチ捕まっとんねん」
ライラは手足の鎖を皆に見せながら思った。
(もしかしてコイツ、ウチの立場を考えて鎖を…まさかなぁ…)
もちろんアルスがそんな細やかな心遣いをするような男でない事は今更説明の必要もあるまい。やがて子供達が戻って来た。
「酋長が会うで!ついて来い!」
「おう、ボスのお顔拝見といくか〜」
「アルスさん、アルスさん」
サフィアが小声で囁いた。
「こういう狩猟採集の生活を営んでいる方々というのは大変に誇り高い人々ですから、無闇な刺激を避けるために、酋長さんとお話する時には充分に敬意を払って…」
「どういう事だ?もっと簡単に言え」
「つまりですね、原人はプライドが高いので怒らせないように下手に出てください…という事です」
多少の語弊はあろうが要約すればそういう事だ。
「嫌だね、俺は領主なんだぜ?何で一集落の酋長ごときに媚びへつらわなきゃならねえんだ。悪いが俺のしたいようにさせてもらうぜ」
以前ディアナ皇女に謁見した時もそうであったが、この男、相手に敬意を払うとか尊重するとかいう概念が無いのだ。恐らく、物心付いた時からずっと何の組織にも属さず一匹狼で生きて来たためであろう。

酋長は意外にも30代半ばくらいの男だった。一段高くなった床に敷かれたゴザの上に座っており、その隣には美しい女が寄り添うようにはべっていた。
「ワイが酋長のドンや」
「俺はアルスだ。てっきりヒゲ面のジジイが出て来るかと思ってたぜ。女なんか囲って、良いご身分だな」
「先代酋長…つまりオヤジが早く死んだんで、ワイが酋長になったんや。酋長の地位は世襲やさかい。これはエイラ、ワイの妹で第一夫人や」
「お…お前らは兄妹で結婚するのか?」
「南方では珍しい事ではありません」
サフィアが補足する。

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