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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 55

「私もです…ビブリオンのお役人さん達はそんな事ひと言も仰いませんでしたから…」
役人が自国を貶めるような事を言う訳が無い。
「…ま、それと盗賊の取締りは全く別問題だがな」
「何でやねん!お前、今の話聞いとらんかったんか!?」
「うるせえ!治安維持は領主の勤めだ。確かに元はお前らの土地だったかも知れねえが、もう住み着いちまったもんはどうしようもねえだろ」
「なんやてー!?」
「まあまあ、お二人とも〜」
これ以上の討論は不毛の罵り合いにしかならぬと判断したサフィアが割って入った。
「今、ジェロルスタン州は疫病のせいで人口が激減して廃村だらけです。もし南蛮の皆さんが望むなら、そういう廃村に入ってもらったらどうでしょうか?」
「食い物が無えのに人数だけ増えてもなぁ…みんなで塩でも作るのか?」
「今さら盗賊なんてオイシイ商売、止められへんで…」
「計画が上手くいけば食べ物が穫れるようになります。それに、これからは領内の治安を強化していくので盗賊はやりにくくなりますよ」
「「マジか!?」」
ハモるアルスとライラ。
いずれにせよ、サフィアの計画通りに事が進めば全ての問題は解決するはずだ。計画通りに事が進めば…。

やがて三人は集落に到着した。
「ここがウチの村や!300人ぐらいが住んどる」
ポッカリと開けた一角に、土の壁と草の屋根で出来た粗末な家が無秩序に立ち並んでいる。村の中央に他の家より大きな建物があり、その前だけは広場になっていた。
「あっ!ライラ姉ちゃんや」
「ライラ姉ちゃん!生きとったんか!?」
広場で遊んでいた子供達がライラを見つけて駆け寄って来た。
「ハハハ…チビども、勝手に殺すなアホウ!」
ライラは子供達を抱き上げて笑って言った。
「ライラ姉ちゃん、何で鎖しとるん?」
「後ろの二人、誰や?」
「北方人やないか」
「あの姉ちゃん、肌白いなぁ」
子供達はアルスとサフィアに興味津々だ。
「ガキども、この村の村長はどこだ?」
アルスは子供達に尋ねた。
「何やコイツ?もしかして酋長を殺して村を乗っ取りに来たんちゃうんか!?」
「そうや!その証拠にライラ姉ちゃんを人質に取ってるやん!」
「姉ちゃんを離せ!わいらが相手したる!」
「はっはっは!良い度胸だな。でも安心しろ。俺はただ話をしに来ただけだ」
幼いながら女を助けるために自分に立ち向かおうとする子供達にアルスは感心した。

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