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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 47

馬上に揺られること数時間。既に日は暮れかけ、同伴した部下や荷物持ちの奴隷達も疲労の色が隠せなくなってきた頃、一行は南部国境付近の渓谷に差し掛かった。
アルスは何となく嫌な予感がしていた。日が落ちて見通しがきかない事と、渓谷という土地で上を抑えられたら不利という状況から、もし敵襲にでも遭ったら面倒な事になる気がしていたのだ。
少し前に斥候に出した兵が何故か戻って来ないのも気になっていた。
そして彼の予感は当たった。
「敵襲ーーー!!」
部下の言葉でアルスは馬上で剣を抜き、声の先の崖の上を見やる。そこには馬に乗り、黒い布で顔を覆い隠した賊の一団が弓を構えてアルス達を狙っていた。
その中にアルスは一際胸の大きな女を見つけた。
「お前らぁ、赴任初日から仕事だぞ!かったるいからとっとと片付けちまって砦で一杯やろうぜぃ!」
まるで目の前の一団は些事であるかのような発言で戦いの火蓋は切って落とされた。
「放てっ!」
首領と思しき男の合図で賊共は一斉に矢を放った。アルスは刀を振るって矢を払う。カルラもモーニングスターを使って、兵士達は盾を構えて矢を防ぐ。アイシャら奴隷達は物陰に身を隠した。
それでも何人かは矢にやられた。
矢が尽きると賊共は剣を抜いて崖を一気に駆け下りて来た。混戦乱戦が始まった。だが接近戦ならアルスやカルラの得意分野だ。
「そっちから下りてきてくれるたぁ、ありがてぇ!」
アルス達はたちまちの内に半数近くを斬り伏せた。
「クソ…予想以上に強いぞ。いったん引け!」
首領の指示で賊共は波が引くように去って行った。
「何だったんだ、あいつら?」
「たぶん地元の盗賊だろう。私達を隊商か何かと間違えて襲ったんだね」
「アイシャ!エルザ!サフィア!みんな無事か!?」
「はい、ご主人様!みんな大丈夫です」
「よし、ケガ人を手当てしろ!敵の生き残りも息のあるヤツは手当てして捕虜にしろ!」
その生き残りの中にあの女もいた。顔を覆っていた黒い布を取ると褐色の肌を持つ美女が現れた。
「クソ!早よ殺せや!」
「その肌に言葉…南蛮人だな。でも良い女だ。乳もでけえし。名前は?」
アルシア大陸南部には彼女のような褐色肌の人間が多く、中部以北の人間には『南蛮人』と呼ばれていた。

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