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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 41

アルスがそんな事を考えながら歩いていると、突然、喉元に冷たい物を感じた。
「これはこれは…」
スラリと首筋に突きつけられた短刀にアルスは見覚えがあった。全く気配を感じさせずに後ろを取る、その空気と一体の如き身のこなしも含めてである。
「ガイアのワンちゃんか…何か用か?」
「オ前…ガイア様ノ敵カ?味方カ?」
「ハハッ…こりゃまた突然だな」
「答エロ…」
レオナの短刀がプチッと皮膚を切り裂き、ポタリと血が一滴だけ落ちた。
「…俺はガイアに楯突く気は無えよ。ガイアは俺に城と領地をくれた。それは感謝してる。心酔はしてねえがな。あれで女だったら抱きしめてキスしてやりてえくらいさ」
「……アホ」
その言葉だけを残してレオナは消えた…。

「ハァッ!ハァッ!な…何だよアレ!?全然気付かなかったぞ!?」
レオナの気配が完全に消えたのを確かめたアルスは思わず床にへたり込んだ。こんな事は今まで無かった。もしレオナがその気だったら、彼は文字通り瞬殺され、死んだ事すら気付かなかったであろう。
「死ぬかも知れねえと思ったのは、それこそ初陣の時以来だなぁ…でも何だってあんな事…」
自分はガイアに目を付けられたのか…それとも今の行動はレオナの独断か…ただ単に釘を刺しただけだったのかも知れない。色々な考えが頭に浮かんだが、結局わからなかった。

それから数日後、今回の戦いの論功行賞がアンブレラ宮殿で行われ、アルスは正式に領地と爵位を拝命した。
その夜、宮殿の大広間にて晩餐会が開かれ、授勲者や高級将校らが招かれた。その中にアルス、カルラ、サフィアの姿もあった。
「おめでとう、アルス。まさか本当に領主様になるとはね!」
「おめでとうございます〜」
「へへ…実力ってやつさ!」
「調子に乗るんじゃないよ!」
「お姫様を浚って寝返るなんて、あまり褒められた行動でもありませんしね〜。アルスさん、ノーマの人達からは恨まれてますよ?」
「え…そうなのか?」
「…しかしあの王様、趣味は悪いが臣下への賞罰はしっかりしてるみたいだね」

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