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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 39

黄金色の甲冑で正装し白馬に乗った王の後ろを、鎖に繋がれたディアナが引き立てられて来た。彼女は裸だったが、その白磁のような肌も金糸のような長髪も、今では土埃と垢と汚物ですっかり薄汚れていた。両手を後ろ手に縛られた彼女は、かつての臣民達に惨めな裸体を晒しながら、この正門を出て出陣した時の事を思い出していた。
市民達は口々に囁いた。
「あれがビブリオンの国王か…」
「綺麗ね…女性みたいよ…」
「今に暴行略奪が始まる…早く逃げた方が良いぜ…」
「娘は家から一歩もだすな…」
「あぁ…ノーマは終わりだ…」
「王の後ろの、あの汚い女は誰だ…」
「姫様、市民達はあなたが分からないようだ」
「……」
ガイアはディアナの方を振り向いて言った。ディアナは何も言わない。出来れば気付かれたくなかった。
「無視かね…レオナ」
「ハイ…」
レオナは頷くと手にした鞭で勢い良くディアナの尻を叩いた。パシーンッ!!という小気味良い音が響き渡った。
「いぎいいいぃぃぃーーーっ!!!?」
いきなり打たれたディアナは驚いて転倒した。だが鎖を手にした兵士に無理矢理引っ張られ、ヨタヨタと立ち上がって歩き出す。
「姫様、あなたの臣民達に自分の事を教えておあげなさい」
「し…しかし…」
パシィーンッ!!
「アアアァァァッ!!!?」
再び鞭打たれて悲鳴を上げるディアナ。
「聞き分けの悪いお方だ。レオナ、良いと言うまで鞭を止めるな」
「…や…やりますぅ…!!やりますから、鞭は止めてぇ…!!」
小動物のような目をしてガタガタと脅えるディアナを見て満足げにガイアは言った。
「アンブレラ市民諸君、誇り高きノーマ皇国の戦女神様、ディアナ皇女殿下のお話だ!心してご静聴あれ!」
「ディ…ディアナ皇女様!?」
「本当だわ!よく見たら確かにディアナ様よ!!」
「嘘でしょう!?」
市民達の間に動揺が広がる。
「み…皆さん…私はノーマ皇国軍最高司令官ディアナです…ですが…今はビブリオン軍の捕虜となりました…ノーマ皇国は滅亡しました…これから皆さんには受難の時代が訪れるでしょうが…」
「ふざけるんじゃないわよ!!」
ディアナと同い年くらいの若い娘が叫んだ。
「私の夫はこの戦争で死んだわ!あんたの父親の命令で徴兵された!!あんたの命令に従って戦った!!なんでそのあんたは生きてるのよ!?」
「そ…そうだ!!よくもおめおめと戻って来れたな!?」
「戦場で戦って死ぬべきだったんだ!!」
「裏切り者!!」
「父ちゃんを返してよぉー!!」

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