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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 33

「隊長殿!今あいつ我々の頭上を…!!」
「あぁ…飛んで行きやがった」
「騎士隊に追わせましょう!」
「いや、だめだ…」
彼らの目の前にはノーマ軍の騎士およそ一個連隊が鬼神の如き勢いで迫っていた。
「アルスうぅ〜っ!!!待てえぇ〜ぃっ!!!」
先頭は第1近衛騎士連隊長…あのクロイツァー大佐であった。
「撃てーっ!!!!」
迫り来る近衛騎士達に、ビブリオン側の隊長の合図で弓兵隊が一斉射撃を浴びせた。バタバタと倒れる馬と騎士、それに足を取られて転倒する後続の騎士達。矢は容赦なく降り注いだ。
クロイツァーも全身に矢を浴びてハリネズミのようになって死んだ。騎士隊は全滅。ビブリオン側の隊長はその壮絶な最期を半ば感嘆の思いで見ていた。
「ノーマ軍近衛騎士隊…圧倒的に優勢な我々に命さえ省みず突撃して来たその騎士魂…見事な最期だ!」
実は皇女を取り戻そうと必死で、敵勢も良く良く見ずに突っ込んでしまったのだが、今や真実は永遠に闇の中。

ビブリオンの若き国王、ガイア3世は誰もが見惚れる女性と見紛うほどの美しい容姿とは裏腹に、極めて残忍な性格の持ち主であった。彼は他人が苦痛に悶える様を見るのが何よりも好きだった。
明らかに正常な精神の持ち主ではないのだが、その軍事的才能は卓越しており、即位してから5つの国を攻め滅ぼし、先王に引き続いてビブリオン王国の版図を拡大させた。
だがその残忍さゆえ、占領した村や都市の住民を貴賤を問わず次々と虐殺し、各所で反感を買っていた。
「この戦い、私達の勝ちのようだね…レオナ」
「ハイ…ガイアサマ」
戦場を見渡して呟くガイア王の隣には、一見この場には相応しくない黒髪の美少女が寄り添うように立っている。年の頃は13〜14。膨らみ始めた胸と腰回りだけを小さな布で覆い、首には犬用の首輪をしている。
「ノーマ軍の総司令官はディアナ皇女だそうだ…もし捕まえたら、どうやって殺すのが楽しいかな?」
「恐れながら陛下…」
側に控えていた若い騎士が言った。
「ディアナ皇女を殺すのは政治的にマズいかと…」
シュッと一筋の閃光が走った。
次の瞬間、若い騎士の右手がボトリと落ちた。
「ギャアアァァッ!!?」
「そんなの分かってるって、冗談が通じないんだから…ありがとう、レオナ」
無言で頷いた少女の手には血濡れの短刀が握られていた。斬ったのは彼女だ。
「あぁ…でもディアナ皇女、欲しいなぁ…誰か持って来てくれないかなぁ…」
周りの騎士や将軍達は「そんな事ある訳ねえだろ」と思ったが誰も何も言わない。言えない。
「陛下!」
そこへ伝令兵が飛んできてガイアに告げた。
「ディアナ皇女を捕まえたという者が来ました!」
「あるんだね、こういう事って」

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