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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 3

その日の生け贄は、ちょうどアイシャと同じくらいの年頃の娘だった。裸でライオンの檻に放り込まれた娘は、半狂乱になって泣き叫びながら狭い檻の中を逃げ回ったが、結局あっけなく喰い殺された。
それを見ていたアイシャは顔を真っ青にして全身をガクガクと震わせていた。アルスは言った。
「あの娘、元は普通に主人に仕えてたらしいが、あんまり言う事聞かないんで見限られてライオンのエサにされたらしいぜ。お前も気をつけないとな…」
もちろん単なる脅しである。買った奴隷を簡単に殺してしまえるのは貴族や金持ちだけだ。
だがアイシャには効果てきめんだった。アルスの体にすがりつき、恐怖に顔を引きつらせて泣きながら言った。
「い…嫌ぁっ!私は…アイシャはご主人様の忠実な、どど…奴隷ですぅっ!!ご主人様の命令なら何でも従いますぅっ!!ご主人様の赤ちゃんも産ませていただきますぅっ!!だ…だから、殺さないでくださいっ!!お願いしますぅ〜っ!!」
そう言いながら小便を漏らした。周りの客達がニヤニヤしながら二人を見ている。アルスは『ちょっと怖がらせすぎたか?』と思ったが、それ以来アイシャは本当に従順になり、今では足枷も着けていない。
「もし俺が領主になったら良い女を集めてハーレムを作るぞ!」
「そ…そしたらアイシャは第一夫人ですか!?」
「ばか。お前は奴隷だ。俺と妻達の世話をさせる」
「そんなぁ…」
シュンとなるアイシャ。
「それより見ろ!やっと着いたぞ」
アルスが指差す先には城壁に囲まれた巨大で壮麗な城塞都市がそびえ立っていた。かつての大陸の中心、現ノーマ皇国の皇都アンブレラ城である。
「ご主人様はノーマ軍として参戦なさるんですか?」
「まあな、だが場合によっては…」
「え?」
「まあ良い、行くぞ!」
「あ…待ってください〜!」
二人は巨大な城門をくぐり抜け、市内に入った。
街の中は様々な人でごった返していた。
一番多いのはアルスのような傭兵。次いでノーマ軍の正規兵。さらにノーマ皇国の要請に応えて派兵された各国の兵。中にはならず者みたいなヤツらもいる。皆、戦いのために集まって来ているのだ。
さらに彼らを相手に商売する商人、芸人、娼婦もいる。
元々アンブレラ城下には10万人ほどの市民が暮らしていたのだが、今一体どれぐらいの人間が城内に集まっているのかはノーマ軍総司令部だって把握していないだろう。だが少なく見積もっても30〜40万はくだらない。おそらく敵国ビブリオンの都も似たような状況なのであろう。
「こりゃあ、近年稀に見る大会戦になるな…」
今まで幾多の戦いに参加してきたアルスも、この人数の多さに思わず息を呑む。
「…はい」
アイシャも驚きのあまり、それだけ言うのが精いっぱいだった。

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