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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 17

「でも…でもぉ…」
ディアナは諭すように言った。
「エルザ…辛いでしょうね。あなたも貴族ですものね。こんな卑しい男に仕える事になるなんて…しかも奴隷として…でも耐えてちょうだい。私と皇国のためと思って…」
「本人前にしてエライ言いようだな…」
ちなみに宮殿で働く女達の中でも、皇族の周りに仕える女官は高位な身分の者と限られいる。主に下級貴族や富豪の次女三女で、容姿、教養、品位に優れるエリート中のエリートだ。それがいきなり正規軍人ですらない一傭兵の奴隷になれと言われたのだからたまったものではない。
アルスは思う。
(今まで自分に仕えてた女官を今さっき会ったばかりの俺に何のためらいも無く奴隷にやっちまうとは…支配者ってのは残酷だねえ)
もっとも、それぐらい非情でなくては国の統治など出来ないのかも知れない。それにしても人を人とも思わぬ態度…支配者層がこれでは戦争も無くならない訳だ。
(世の中の動乱もこういう思慮の浅いヤツラのエゴのせいなんだろうな。何とか連中に一矢報いてやりたいもんだ。特にこの皇女様は別の意味で奴隷にしてやりたくなったぜ)
もっとも今の彼にはそれは天地がひっくり返っても無理な話だ。
そもそも今回の悲劇はアルスがエルザを望んだ結果なのだが…。
「うぅ…わ…わかりました、殿下。私、エルザはあの男…いえ、アルス様に奴隷としてお仕えいたしますぅ…」
エルザは小さく声を震わせながら言った。
「それでこそエルザだわ!アルス殿、聞いての通りです。エルザはあなたの奴隷となりました。後は煮るなり焼くなりお好きなようになさってください」
そう言うディアナを恨めしげに見つめるエルザ。そのエルザを哀れむような目で見つめる元同僚クリスティーナ。
アルスはさっきから気絶したままのアイシャを指差し、エルザに主人として最初の命令を出した。
「じゃあさっそくだがエルザ、そこでションベンまいてひっくり返ってるボテ腹…お前の先輩だ。起こしてやれ。それから俺の事は今後“ご主人様”と呼べ」
「はい、ご…ご主人…様」
エルザは屈辱でおかしくなりそうになりながらも命令を実行した。
揺すり起こされたアイシャはキョロキョロと辺りを見回し、エルザに尋ねた。
「え…と、あなた方は?」
「こちらはノーマ皇国第一皇女ディアナ殿下と皇女殿下付女官のクリスティーナ…様です」
さっきまで同僚だった者を様付けで呼ぶのを一瞬ためらうエルザだったが、今や彼女との身分は天と地ほども変わってしまったのだ。
「えぇっ!?ディ…ディアナ皇女様!?本物ですかぁ!?」
憧れの戦女神様を目の前にしてアイシャのテンションは一気に上がった。もう先程までの恐怖感など、どこ吹く風だ。
「わ…私、以前からアナタに憧れてましたぁ!お会い出来て、すっごく嬉しいですぅ!!」
「そうですか、ありがとう」
そう言ってディアナが軽く微笑みかけただけでアイシャは歓喜と興奮のあまり再び気絶しそうになる。

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