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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 16

「…んで、俺に何か用があって呼んだんだろう?」
「用などありません。ただ、音に聞こえし英雄『無双のアルス』が城下にいると聞き、ぜひ一目お会いしたいと思いまして…」
「そ…それだけか!?」
「はい。そうですが、何か?」
アルスは皇女が直々に自分を呼び出したからには何かしらあると考えていた。例えば直属の臣下として召し抱えるとか、将として一軍を与えるとか…。そこまではいかなくとも、戦後の地位や恩賞を約束するとか、何らかの特典があると思っていたのだ。
「話にならねえな。俺は帰るぜ」
「一体どうしたと言うのですか?あちらにお茶を用意いたしましたので、ぜひ武勇伝でもお聞かせください。セイロニア地方から取り寄せた最高級の茶葉が…」
「悪いがお姫様の暇つぶしに付き合う気はねえ」
普通なら皇女に自分を売り込むチャンスと考える所なのだが、この男にそんな発想は無かった。
「あの…なぜだか分かりませんが、気を悪くなさったなら謝ります。お詫びに何か望みを仰ってください。出来る範囲でご希望に沿うようにいたします」
さすがにディアナもマズいと思ったのだろう。ここで機嫌を損ねて敵方に行かれたりしたらシャレにならない。
「殿下!このような無礼者に下手に出る必要はありません!!」
「そうです!本来なら不敬罪で処刑しても良いくらいですよ!?」
「エルザ、クリスティーナ、あなた方は黙っていなさい。アルスさん、どうか望みを…」
ディアナもお飾り司令官とは言え、さすがに何度も戦場を見てきただけの事はあり、(無双の)アルス級の豪傑を失う事の意味(戦力の損失、士気の低下など)を良く理解していた。
「望み?んな事いきなり言われてもなぁ…」
まあ普通に考えて『元帥にしろ』とか『一個連隊よこせ』とかは無理だろう。あくまでディアナ個人の権限で叶えられる範囲の願いだ。
「そうだ!そのエルザって娘、あんたの召使いか?」
「エルザは私専属の女官ですが…」
「じゃあ、エルザを俺の奴隷に貰いたい。良いだろう?」
「はぁっ!?バカも休み休み言いなさい!!どうして私がアナタなんかの奴隷に…」
「…分かりました。エルザを差し上げましょう」
「で…殿下ぁ!!!?」
一国の皇族にとっては女官の一人などその程度の扱いなのだろう。それにしてもあまりにあっさり承諾したのでアルスはちょっと驚いた。だが一番驚いたのはエルザ自身だ。彼女は今までの強気な態度はどこへやら、混乱した様子で泣きながらディアナの前にひざまずいて訴えた。
「殿下、どうかお慈悲を!!私は殿下のお側を離れるのは嫌でございますぅ〜!!しかもこんな下品で粗野な男の奴隷になるなんて…耐えられません〜!!」
「いけません、エルザ。これは命令です。あなたは私の命令が聞けないというの?」

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