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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 122

だが、使者の口から出た言葉は二人にとってはとても信じられるものではなかった。
「信じるか否かはあなた方の自由です。とにかく、昨日ババロア大公よりこのような知らせが参りましたので、こうしてお知らせに参りました。では私はこれで…我が州もアクシミリアン閣下の急死によって混乱しておりますので…」
そう言うと使者は一礼して帰って行った。
「カルラさん…」
エルザは今にも泣き出しそうな不安な表情で、ようやく声を絞り出しながらカルラに尋ねた。
「…ご主人様は生きてますよね?きっと無事ですよね…!?」
「大丈夫だよ…」
カルラはエルザの震える体をそっと抱き寄せて言う。
「アイツの事だ。そう簡単にくたばりはしないさ!」
そしてカルラは笑ってみせた。だが彼女も内心は不安で仕方なかった。
そこへ…
「あの〜、オルストリア州の使者さん、もう帰られたんですか?」
「なんや二人とも、どないしたん?珍しう真剣な顔してからに…」
ウルスとウルサを抱いたアイシャとライラがやって来た。
カルラは二人に今聞いた話を伝えねばならないと思うと気が重かった。特に…
「どや?アルスのアホはちゃんとやっとったか?酋長やエイラさんも元気かな〜?…へへ」
ライラに対して、ドンとエイラ…それに仲間達の死を伝えねばならないと思うと胸が苦しくなった。
だが、言わぬ訳にもいかない。
「アイシャ…それにライラ、落ち着いて聞いて欲しい。実はな…」
カルラはゆっくりと話しだした。

「何やてカルラ!?も…もっぺん言うてみい!つまらん嘘吐いたらお前、承知せえへんで…っ!?」
「嘘じゃないよっ!オルストリアの使者がそう言ったんだ」
「な…なら、その使者が嘘を言ってるんや!!もしかしたらアンブレラ市の大将のババロアが嘘ついとったのかも分からんし…!!」
「ライラ…!」
カルラは両手でライラの顔を掴むと、無理矢理自分の方を向かせて言った。
「信じたくないのは分かるよ!私だって信じたくないよ…でも…」
「嘘や…絶対嘘や!!酋長、エイラさん、それにみんな死んだなんて嘘に決まっとる!」
そう言うとライラはカルラの手を振り切って部屋を出て行った。彼女の目に光るものがあったのを見る事が出来たのは、カルラだけだった。
「ご主人様…ご主人様はきっとアイシャ達の元に帰って来てくれますよね。サフィアさんも一緒に…」
ウルスとウルサを抱きかかえたアイシャがポツリとつぶやいた。

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