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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 121

「何だか良く分からねえな。俺の周りにもそういう事言う女がいるが…」
アルスはそこまで言うと、ふとサフィアの事を思い出した。
(そういやアイツ無事にアンブレラまで行けたかな…)
サフィアだけではない。ジェロルスタン州に置いてきたアイシャ、エルザ、カルラ、ライラ、ウルスとウルサにも会いたかった。そんなアルスの内心を知ってか知らずか、フランツは言った。
「まあ、私としても今回の遠征は有意義だった。お前という得難い人物を得られたからな」
「オイちょっと待てコラ!誰が誰を得たって?」
慌てるアルスに対してフランツは態度を変えずに言った。
「まさか自分の立場を忘れた訳では無いだろう。お前は今、捕虜なのだ。当然ヘッセン州に連れて帰る」
「俺なんか捕まえてどうする気だよ!?身の代金でも要求する気か!?」
「ハハハハ!ビブリオン帝国もアンブレラ市もオルストリア州も金を払ってまでお前なんかを買い戻す事はしないだろう」
「何気に酷い事言うなお前…」
フランツは笑いながら続けた。
「いや、スマンスマン。ヤツらにはお前という人間の価値は分からんだろう、という意味で言ったのだ」
「俺の価値ぃ?」
「そうだ。お前自身まだ気付いていないだろうが、お前は素晴らしい物を持っているのだ」
フランツはアルスの目の前に人差し指を突き付けて言った。
「それは人を惹き付ける力だ。お前には奇妙な魅力がある。それは勉学や鍛錬で身に付けられる物ではない。持って生まれた素質だ。そして支配者として最も大切な要素だ。私は私の理想の世界を創るために、お前のその力を借りたいんだ」
そう言いながらフランツはアルスの肩を力強く握った。
「イデェ〜ッ!!何すんだバカヤロウッ!?」
「おっと、スマン…ついウッカリしていた。まあ、こんな所で立ち話も何だ、私のテントで話そう」
そして二人は連れ立ってフランツの天幕に向かった。


その頃、ジェロルスタン州。
「…何だって!?」
「う…嘘だと言ってください!!」
カルラとエルザはオルストリア州の使者の言葉が信じられなかった。
「…残念ながら嘘ではございません。アンブレラ市近郊の戦いにおいて、オルストリア州軍こと南蛮軍は全滅。我が主君アクシミリアン閣下は戦死。アルス殿も行方不明…ですが、生きている可能性は低いかと…」
オルストリア州から使者が来たと聞いた時、皆はてっきり勝利の知らせだと思っていた。
そこで領主代行であるエルザと軍事担当であるカルラの二人が使者と面会した。

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