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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 13

「あのぅ…アルスさん、やっぱりご迷惑でしたか?」
黙りこくって考え込むアルスを見て、サフィアは少し悲しそうな顔をする。アルスはニッと笑ってサフィアに言った。
「ふ…サフィア、そんな顔すんな。それぐらいお安いご用だぜ!」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
サフィアはまるで我が事のように喜び、アルスに礼を言った。
「良いって事さ。俺はカルラとサフィアが気に入った。それだけだ」
(全く…サフィアのやつ、余計な事をするね。ま、あの娘らしいか…)
そんな二人のやり取りを部屋の外で聞きながらカルラは思った。サフィアの優しさとアルスの懐の広さに微笑みながら…。実はバスタオルを忘れて取りに戻って来たのだが、二人の話し声が聞こえたので、つい立ち聞きしていたのであった…。

翌日、アンブレラの街はもう『無双のアルス』の噂で持ちきりだった。部隊の連中が酒場などで調子に乗って喋りまくったせいだ。
「あの『無双のアルス』が味方についたらしいぞ」
「マジなのか!?」
「勝ったな、この戦争」
そのような会話がいたる所で交わされた。サフィアの読みは見事に当たった訳だ。
アルスが街を歩けば、たちまち黒山の人だかりが出来た。
「キャ〜!!アルス様ぁ〜!こっち向いてぇ〜!」
「あれが『無双のアルス』か…なんかイメージと違うな」
「そんなに強そうには見えないがねぇ」
「いや、そう思わせて相手が油断した所を斬るんだよ、たぶん」
「そうだぜ。見ろよ、あの鷹みたいな隙の無い目…」
「どうでも良いが、変な剣じゃのう…」
どこへ行ってもこんな感じだ。落ち着かないったらありゃしない。
「…ったく、あのバカ共!調子に乗ってベラベラ喋りやがって」
「良いじゃないですか、ご主人様。おかげで美味しいご飯いっぱい食べられましたよ」
飯屋の主人が「タダで良い」と料理をご馳走してくれたのである。
「ま、そりゃ良かったけどよ…」
ふと、人混みを掻き分けて騎士の一団が現れ、二人の前に立った。羽飾りの付いた立派な白銀の鎧兜に身を固めている。
「何だコイツら?」
隊長らしき男が進み出て言った。
「私はノーマ皇国軍第一近衛騎士連隊隊長、クロイツァー大佐だ。あなたは『無双のアルス』殿だな?」
「『そうだ』と言ったら?」
「我らがノーマ皇国軍最高司令官ディアナ皇女殿下がぜひ貴殿に会いたいとおっしゃっておられる。これは大変に名誉な事だ。宮殿まで案内するので我々に付いて来て貰いたい。ちなみに拒否権は無い」

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