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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 119

「中立だと…!?」
「銃の作り方を教えたのは人間達に請われたからだ。求めれば知識は与えてやる…それが世界の発展に繋がるか、それとも破滅に繋がるかは使う人間次第だ…」
「ふざけんじゃねえっ!!」
アルスは再びハルに殴りかかるが、すんでの所で兵士達に取り押さえられてしまった。
「来い!!」
「コイツめ!!ヘッセン少将の温情で自由にさせてやったが…やはりロスト大佐の言うように牢にぶち込んでおくべきだったのだ!!」
「離せチクショーッ!!!テメエのしてる事は、やっと再び進歩し始めた人間達の文明を混乱させてるだけだっ!!!!もう人間はテメエの力なんざ無くても立派にやって行けるっ!!!!神様気取って余計なチャチャ入れんじゃねえっ!!!!」
アルスのその言葉に始終無表情だったハルの眉が一瞬ピクリと動いた。だが彼女はすぐに冷静さを取り戻し、静かに言った。
「…連れて行け」
普段のアルスであれば一介の兵卒ごとき軽く投げ飛ばしている所だが、今は肩に傷を負っている身…あっさり連れ出されてしまった。
アイリはその様子をただ狼狽えながら見ているだけだったが、ふと気付いてハルに尋ねた。
「あ…あの、大丈夫?ごめんな。あの人、悪い人じゃないんだけど、昔から頭に血が上ると見境無くなっちゃう所があって…」
アイリはハンカチを取り出してハルの口元に付いた血を拭いてやった。
「大丈夫だ。この程度の傷、体内のナノマシンで明日にでも完治する」
「おい小娘!貴様も早く出て来い!」
兵士の一人が天幕の外から怒鳴った。
「は…は〜い!今、出ます!…それじゃあ、本当にごめんな。ハンカチ返さなくても良いから」
まだハルを普通の少女だと思っているアイリはぺこっと頭を下げて天幕を出ようとした。
「待て」
ハルは立ち去ろうとするアイリを呼び止めて言った。
「あの男、HAL0001に会ったと言っていたな。後で彼に0001の事を聞いて欲しい。そして何でも良い、聞いた事を教えてくれ」
ハルは無表情かつ無感情な口調だったが、なぜかアイリには懇願しているように見えた。
「…また来て良いの?」
「ああ。本当なら私自身が聞きに行きたいが、ロストの部下共がここから出してくれないのだ。それにまたあの男と直接会えば、私を見るなり殴りかかって来そうだ…」
「…そうだね」
アイリは少し笑った。なぜアルスがこの少女に対してそんなに怒ったのか分からないが、自分を通して話をするくらいはしてくれるだろう。

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