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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 118

「な…何だよ、ただの女の子じゃないか…」
神様の正体を目の当たりにして少し拍子抜けした様子のアイリ。
だがアルスはその容姿に見覚えがあった。白いシンプルな服装、10歳前後の美少女…
「…ハル!テメエは古代人が世界を統治するために作った機械、ハルの仲間だな!?」
「え!アルス兄ちゃん、コイツ知ってんの?」
アイリは驚いてアルスを見た。
「ほう、私の事を知っているとはな…いかにも、私は人類の英知を結集したスーパー・コンピューター・アーティフィシャル・インテリジェンス・HALL0005…通称『春五番』だ」
髪型や口調など全体的な雰囲気は異なるが、彼女はアルスが南蛮地方で見つけたハルの妹に違いなかった。
「でも、どうして…どうしてお前には体があるんだ?」
南蛮で見つけたハル(一番)はホログラム…つまり立体映像だった。ゆえに地元の南蛮人達には幽霊と間違えられて恐れられていた。
だが目の前のハル(五番)は明らかに実体としてそこに存在していた。透けてもいないし、影もある。それに火の灯ったロウソク立てを自分の手で持っていた。
「全てのHALLがホログラムという訳ではない。私のこの体は人工細胞から出来たアンドロイドだ。私はホログラム装置が壊れたため、仕方無くこの体を作ったのだ」
「驚いたぜ…お前らは人間を創る事も出来るのか?」
「ああ、アンドロイドとはいえ心臓も動いているし、血も通っている。母親の母胎から産まれた生身の人間と全く変わり無い。ただし、脳だけは端末機が入っているがな。私の本体はここからずっと離れた所に埋まっているのだ」
「…そいつは都合が良いぜ」
そう言うが早いか、アルスはハルの頬を思いっきりグーで殴り付けた。右肩に激痛が走ったがアルスは構わなかった。
小さなハルの体は衝撃で飛ばされ、天幕の柱に激突した。
「クゥ…ッ!?」
アイリが慌ててハルに駆け寄る。
「わぁっ!!!ア…アルス兄ちゃん!!こんな子供に何て事すんだよ!!?」
「うるせぇっ!!コイツのせいでドンやエイラやアクシミリアン達は死んだんだっ!!!拳の一発でもブチ込んでやらなきゃ気が済まねえぜっ!!!!」
「いかがなさいました、ハル様!?」
ハルが柱にぶつかった衝撃で天幕全体が揺れたため、外の警備兵達が異常に気付いて飛び込んで来た。
「な…何だ貴様らは!!?」
「どうやって侵入したんだ!?」
アルスは兵士達を無視してハルに詰め寄る。
「俺は南蛮の密林の中でテメエの一番上の姉貴に会った!テメエらの姉妹ゲンカのせいで一度世界が滅びちまった話も聞いた!テメエは人間の味方か!?それとも敵か!?」
それに対して目の前のハルは落ち着いた態度を崩さず、ゆっくりと立ち上がり、静かに言った。
「…私は中立、人間の敵でも味方でもない」

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