PiPi's World 投稿小説

アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 115
 117
の最後へ

アルス正伝 117

「貴様の軍ともっと早く合流出来てさえいれば、あんな砦に立て籠もる必要も無く、直接アンブレラ城に向かえたのだ!!我々があの小憎たらしい300騎を叩き潰した後からノコノコやって来た分際でデカい口を叩くなーっ!!」
ロスト大佐は腰の剣を抜いてフランツに斬りかかる。幕僚達は慌てて制止した。
「お…落ち着いてください大佐殿!!」
「閣下も閣下です!もう少し言葉をお選びください!!」
ここに来てガイアール軍とヘッセン軍の意見の相違は明らかな物となった。反乱軍は完全に二分してしまったのである。

「なぁ、アイリ」
「何だい?兄ちゃん」
アルスとアイリは食糧の中からちょろまかして来たリンゴをかじっていた。
「あのテントは何なんだ?」
「何だよ?スパイ活動?だったら教えられないよ」
「んな事しねえよ。純粋に気になっただけだ。妙に厳重に見張ってるからよ」
やや大きめのその天幕には、さっきから番兵が付きっきりで警備していた。何か大切な物でも隠してあるのだろうか。
「ああ、あれね。ガイアール軍の連中に聞いたんだけど“神様”らしいよ」
「神様?何だそりゃ?」
「何でも反乱軍に銃の造り方を教えてくれた人なんだってさ…でも全然外に出て来ないから姿を見たヤツはほとんどいないんだよ」
「ふ〜ん…どんなヤツなんだろうな?」
「そうだ!」
アイリはアルスに近付いて耳打ちした。アイリの体が近付いた時、アルスは僅かに女の匂いを感じた。
「見に行ってやろうよ…神様」
「ハァ?何言ってやがる。あの警備見ろよ。アリの子一匹近付かせねえって雰囲気だぜ?」
「大丈夫だよ〜、ああいうテントって実は裏から簡単に入れるんだ」
そう言うとアイリは天幕の方に掛けて行った。
「ごくろーさま!」
入り口の番兵に向かって手を振りつつ、さりげなく裏側に回る。
そして天幕の影から顔を出してアルスの方に向かって「こっちこっち」と見手招きした。
「マジかよ…ったく、しゃーねーなぁ…」
頭を掻きながら立ち上がるアルス。しかし、実のところ“神様”というのには少し興味があった。

「何だよ…本当に簡単に入れちまったな」
「な?オレの言った通りだろ〜」
無事に天幕の中に侵入したアルスとアイリは、見つからないように気配を殺して辺りを見回した。中は薄暗くて良く見えない。
「お前達、何をしている?」
次の瞬間、フッと灯りが付いて天幕の中が明るくなった。
「ヒッ!見つかった」
「テメエが“神様”か?」
「人間共の中には、そう呼ぶ者もいるな」
そこに居たのはロウソク立てを持った一人の美少女だった。ショートヘアで白いシンプルな服を着ている。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す