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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 115

「何だよ…将軍ならもっとそれっぽい格好しろよ。地味なんで下士官かと思っちまったぜ」
「き…貴様ぁ!!少将閣下に対して…」
フランツは怒鳴る兵士の前に手を差し出して遮り、言った。
「華美な甲冑など、これからの戦争ではコイツの餌食になるだけだ」
そして腰の皮ケースから例の新兵器の小型のやつを取り出して見せた。
「なぁ…一体何なんだそれ?」
「火薬の爆発力で鉛玉を飛ばして攻撃する機械だ。銃と言う。ガイアール中将やドルン准将は“神の力”なんて呼んでいたが、実のところ古代の武器らしい」
「古代の武器…?」
「閣下、そろそろ…」
「おお、済まん。今行くよ」
兵士に促されフランツは腰を上げた。そして手に持っていた銃を、アルスの寝ている寝台の横にある机の上に置いて言った。
「貸してやる。弾は入ってないから手に取って自由に見ると良い。私は軍議に行ってくるからな。それと陣中は自由に歩き回って良いぞ」
「閣下、仮にも彼は捕虜ですぞ!?」
兵士は焦ってフランツに詰め寄る。あっさり新兵器を見せてやったり、陣内の散策を許したり、もしアルスがスパイだったら大変な事だ。
「構わん。何も隠し立てするような事は無い。それに…」
フランツはアルスの目を見て言った。
「…彼は逃げないよ」
「……」
その妙に自信あり気な物言いに兵士は黙り込む。
「…何でそんな事が言えんだい?コイツを持ってトンズラするかも知れねえぜ?」
そう言うとアルスは机の上の銃を手に取り、目の前でくるくる回した。
「ふむ…別に根拠は無いんだが…」
フランツは少しだけ肩をすくめて言った。
「…なんとなくだ」

「フランツ・フォン・ヘッセンか…変わったヤローだ」
中央の大天幕の方へ向かうフランツの背を見ながらアルスはつぶやいた。彼もフランツが出て行った後、天幕を出たのだ。手にはフランツから借りた銃を持っている。
アルスはしばらくブラブラとアテもなく陣中を歩き回った。
たまにチラチラとこちらを伺う者もいたが、多くの将兵はアルスに対して無関心なようだった。
やがて休むのにちょうど良い木陰を見付けたアルスは、腰を下ろし、借りた銃をいじってみたが、外から見ただけでは中の構造はサッパリ解らなかった。
「ダメだぁ〜、全然わかんねえや…」
アルスは諦めて銃を腰のベルトに差し、伸びをしようとしたが…
「あいてててて…!!か…肩…」
慌てて肩を押さえてうずくまる。
「…兄ちゃん?」
「あぁ?」
ふと声をかけられ顔を上げると、そこには14〜5歳の短髪の少女が立っていた。一見すると少年のようにも見えるが、膨らみ始めた胸で女と解る。
「わぁ!やっぱりアルス兄ちゃんだ!オレ、アイリだよ!」
「アイリ?…アイリ……ああ!思い出したぜ!!いっつも鼻水たらしてたチビのアイリかぁ!?」
「そう!そのアイリだよ〜!」

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