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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 113

「とにかく先程も申しましたように、彼女は話が出来るような状態ではありません。大公殿下と言えどもお引き取り願います」
「この無礼者!!」
ここに来てついにババロアの斜め後ろに控えていた士官が大声を上げた。
「さっきから黙って聞いておれば何だその態度は!?貴様は自分の立場が分かっておるのか!?一医官の分際で大公殿下に対して何という口のきき方だ!?こちらにおわすババロア大公殿下は畏れ多くもガイア皇帝陛下の従兄にあらせられるお方だぞ!?」
(そこでガイアの名前を出すか…)
…とババロアは思ったが、とりあえずここは黙って成り行きを見守る事にした。
「例えガイア陛下でも同じ事です」
セリーヌは言い切った。その態度があまりにも毅然としていたので、士官の方が逆にたじろいでしまった。
まあ、もし本当にガイアの前でそんな事を言った日には、瞬時に首と胴が離れているだろうが…。
「あ…あの…先生…」
ふとセリーヌは後ろから呼ばれて振り返る。声の主は先程から黙ってこのやり取りを見ていたシルビアであった。
「あなた…!まだ寝てなきゃダメじゃない!!」
「私なら大丈夫です…それよりも新兵器の事を伝えなくては…」
そう言いながらシルビアは真剣な眼差しでセリーヌを見た。
「まったく、どいつもこいつも…分かったわよ。でも容態が変わったら会話の最中だろうと止めさせるからね。いい?」
「ありがとうございます…!」
シルビアの表情が若干、和らいだ。セリーヌは溜め息をつきながらババロアとシルビアの間から退いた。ババロアは早速シルビアに尋ねる。
「…して、敵の新兵器の正体は何なのだ?やはり魔術か何かなのか?」
「いいえ、殿下。あれは魔術などではありません」
シルビアは断言した。
「正直、私も初めは信じられませんでした。奇妙な破裂音と共に一瞬で半数以上の味方が殺傷され、戦闘不能に陥ったのです。その後、アクシミリアン閣下のご命令で共にアンブレラ城へ向かった5人の部下達も、成す術も無く…」
シルビアの部下の女騎士達は彼女とサフィアを逃がすために盾となり囮となり、次々と新兵器の餌食となっていった。結局、アンブレラ城にたどり着けたのはシルビアとサフィアだけだった。
「そうだったか…」
「しかし彼女達のお陰で、私はあの新兵器の弱点を発見しました」
「なに、弱点?」
「はい。あの新兵器、どうやら攻撃前の準備が色々と面倒らしく、一発撃つと次の発射までに少なくとも1分以上の時間を要するようです」
「…という事は一回目の攻撃さえやり過ごせば隙が生じる訳だな!」
「はい、それこそ最大の弱点で…うぅっ!?」
再び痛みに襲われ、左足を押さえて苦しむシルビア。
「そこまでです!」
セリーヌが二人の間に割って入り、何やら薬物を取り出してシルビアに飲ませる。
「良く頑張ったわね…さぁ、これを飲んで眠りなさい」

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