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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 111

アルスの刀は真っ二つに折れ、その先端はガイアールの胸甲をブチ抜き、胸に深々と突き刺さっていた。
ガイアールの体がグラリと傾き、馬から落ちた。
「ちゅ…中将閣下がやられたぁ!?」
「何してる!?アイツを撃ち殺せぇー!!」
パーン、パーンと断続的な音が辺りに響く。
一斉射撃は出来ないようだ。
やはり最高指揮官を失った動揺は大きいらしい。
だが、やがてその内の一発がアルスの右肩を貫いた。
「ぐあぁーっ!!?」
途端に襲い来る衝撃と激痛に気を取られ、アルスはバランスを崩して落馬し、思いきり地面に叩きつけられた。
「ウゥ…これまでか…」
周囲には敵味方の戦う音が響いている。
だが、兵達の叫び声も、刃がぶつかり合う音も、あの忌々しい破裂音もさえも、目の前の事なのに、まるで自分とは関係の無い別な世界の出来事のように感じられた。
まるで自分だけが透明な幕で隔てられているようだ。
周囲の騒音は次第に遠のいていった…。
アルスの頭の中を様々な思いが過ぎる…。

…どうやらもうお終いみてえだな…
サフィアは無事に逃げられたかな…
腹に傷を負ってたが…
アイツにゃ州の再建のためにまだまだ働いてもらわにゃあ…
シルビア達を信じよう…
アイシャ…エルザ…
主人の俺が死んだら奴隷のアイツらはどうなるんだ…
自由民に戻れると良いが…
ウルスとウルサは父親の顔を知らずに育つのか…
カルラ…みんなを守ってやってくれ…
ライラにゃドンやエイラの事、伝えられなかったな…
あぁ…目の前が暗くなってきやがった…
いよいよか…
空…青いなぁ…

そんな事を考えながら、アルスの意識は深い闇の中に沈んでいった…。


アンブレラ城。
大騒ぎである。
“オルストリア軍全滅”の報がもたらされた時、ババロア大公は「あぁ…やっぱり…。そう何度も幸運は続かないか…。まぁ、300騎にしては良くやったよね…」という感じで納得したが、その後の“敵は触れずして味方を殺傷せし魔術の如き新兵器を所持”という報を聞いた時は、さすがに飲んでいたブランデーを吹き出した。
「そ…そんな馬鹿な話があるか!?」
「しかし大公殿下、この報告を持って来た女騎士と女奴隷、双方とも妙な傷を負っております」
「妙?妙とはどういう事だ?」

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