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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 108

「…悪いが、その役目はソナタに任せるでおじゃる。マロは馬に乗れぬのじゃ。馬車も完全に壊れてしもうたしのう」
「それじゃあ、お前は…!?」
アクシミリアンはフッと笑って言った。
「どうやらここがマロの死に場所になりそうじゃ…シルビア!」
「はい、閣下!」
「ソナタ達は至急アンブレラ城に行き、ババロア卿にこの事を伝えよ!ついでにこの娘も一緒に連れて行ってやれ」
アクシミリアンはそう言ってアルスの腕の中のサフィアを指差した。
「そ…そんな!?」
シルビアはうろたえた。
「私達は命をかけて閣下をお守りすると誓った身です。お願いします閣下!最期までご一緒させてくださ…」
「ならぬ!!これは命令じゃ!」
アクシミリアンの一括で押し黙るシルビア。彼女は両の瞳に涙を湛えて震えながら暫く黙っていたが、やがて決心したように口を開いた。
「…わかりました。伝令、確かに承りました。これよりアンブレラ城へ向かいます!」
そしてアルスの方に向き直って言った。
「アルス閣下、サフィア殿をこちらへ!」
「ああ!頼んだぜ、シルビア」
シルビアはサフィアを馬に乗せると、自分の体で守るようにその後ろに跨り、言った。
「閣下、ご武運をお祈りしております…お前達、行くぞ!」
「「「はっ!!!」」」
騎士達はアンブレラ城の方角に向かって一直線に駆けて行った。
アクシミリアンは暫くの間、遠ざかる彼女達を見守っていたが、やがてアルスの方に向き直って言った。
「…何をしておる?ソナタも早く土人兵共を引き連れて行かぬか!」
「そうさせてもらうぜ!アンタの仇は必ず取ってやるからな!」
そしてアルスは生き残った南蛮兵達に向かって叫んだ。
「お前ら!!予定が狂っちまったが、最初にドンが立てた作戦通り、ヤツらを川に連れて行くぞ!!俺について来い!!!」
「「「オォ〜ッ!!!!」」」
アルスを先頭に、シルビア達が行ったのとは反対…川の方に向かって一斉に駆け出す南蛮兵達。
生き残った者達の内、半数近くは既に逃走しており、残っているのは70名ほどしかいない。だが敵をおびき寄せるだけなら、それだけ居れば充分だ。
「フッ…アルスか…実に面白い男であった」
一人残ったアクシミリアンはしみじみと呟く。正面に目をやると敵軍が隊列を組ながら前進して来るのが見えた。
「思いがけず人生の幕引きとなってしまったが、最期にあのような男に会えるとはな…」
あの男は今にきっと大きな仕事を成し遂げるだろう…アクシミリアンは何となくそんな気がした。

「ガイアール中将閣下!正面の敵軍が川の方へ逃げて行きます!」
「うむ…」
「しかし内5〜6騎が本隊と別れ、アンブレラ市の方へ向かったようです!」
「銃騎兵にアンブレラへ向かった者達を追撃させよ。残りは敵本隊を追う」
「はっ!」
直ちに新兵器を携えた騎兵の一隊がシルビア達を追って駆け出して行った。

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