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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 107

『…私の事を何と呼ぼうが知った事ではない。お前達は祖国再興のために私の力を欲した。だから私は知恵を授けた…それだけだ』
「そうです…我々には力がいる!ガイアを倒し、ノーマ皇国を再興するために!」
その時、
「ギャアァ〜ッ!!!」
「な…何だ、この女…グアァ〜ッ!!?」
兵士達の中から悲鳴が上がった。見ると、馬に跨った女戦士が戦斧を振りかざし、ただ一騎で隊列に突っ込んで来る。
「ウアアァァァァー――――ッ!!!!」
女が戦斧を一払いするごとに4〜5人の兵士達が叩き斬られていく。正に鬼神の如き強さであった。
「ヒイィ〜ッ!!」
「た…助けてくれぇ〜っ!!」
「何をしている!?次弾装填、急げぇ〜っ!!!」
兵士達の間に動揺と恐怖が広がる。
女はガイアールら幕僚達の方に向かって一直線に走って来る。
「アアアァァァー――ッ!!!!」
「やらねばならんのだ…」
ガイアールはその武器を、戦斧を振りかざして真っ直ぐに突進して来る女に向けて叫んだ。
「例え悪魔に魂を売り渡してでも、やらねばならんのだあぁーっ!!!!」
パァーンッ!
破裂音と同時に女戦士は額から血を噴き出して落馬し、絶命した。

「…閣下!アクシミリアン閣下!」
「うぅ〜ん…シルビアか…一体何が起きたでおじゃる…?」
気絶していたアクシミリアンはシルビアの呼びかけで意識を取り戻した。
彼が乗っていた四頭立ての大型馬車は片側の馬が撃ち殺されたため、バランスを失って転倒したのであった。
「そうじゃ…リンダは!?」
一緒に馬車に乗っていたはずのリンダの姿を探して辺りを見回す。
「リンダ!!!!」
彼女はいた。アクシミリアン自身の体の下にである。
彼女は馬車がひっくり返った衝撃とアクシミリアンの体重によって圧死していた。
「何という事じゃ…おのれ反乱軍め!絶対に許さぬぞ!!」
アクシミリアンは棍棒を手に取り、馬車の扉を破壊して外に出た。
「閣下!ご無事で良かった…」
馬車の周りにはシルビアと5人の女騎士達がいた。彼女達はアクシミリアンの無事な姿を確認し、安堵の表情を浮かべた。
「他の者達はどうした?」
騎士は10人いたはずである。
シルビアは黙って首を振った。
「…そうであったか」
「…一瞬でした。皆、何が起きたかも分からないまま…」
騎士達の中から嗚咽の声が漏れる。その時…
「お〜い!お前らも無事だったか!!」
サフィアを抱きかかえたアルスがこちらに向かって走って来た。
「おお、ソナタも生きておったか!」
「ああ…だがドンがやられちまった…エイラも瀕死の傷を負ってたのに、俺達が逃げる時間を稼ぐために一人で敵陣に…」
「そうか…土人と侮っていたがヤツらも戦士よのう…天晴れな最期でおじゃる」
「悔しいが、敵の新兵器の正体が分からねえ以上、今は逃げるしか無え!この先の川にドンが張った罠がある!そこに敵軍を引き連れて行くんだ!アイツらの死を無駄にしねえためにもな!」

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