PiPi's World 投稿小説

アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 103
 105
の最後へ

アルス正伝 105

「その通り!さすがアルスや」
その時、エイラが叫んだ。
「アンタ!城門が開いたで!」
「おう!出て来おったな。お前ら!もう糞攻撃は止めや!早く馬に乗って逃げるんや!!」
「「「オォーッ!!!」」」
と言うが早いか、たちまち投石器から離れて馬に跨る南蛮兵達。
「…ん?」
砦から出て来た反乱軍を見ていたアルスは何か違和感を感じた。
「どうしました、アルスさん?」
「サフィア、アイツらが持ってる筒みたいなの、何だ?」
「さぁ〜、わかりません。何かの武器だとは思いますが…」
汚物まみれの反乱軍の兵達は皆、細長い棒のような物を手にしていた。
筒状の金属製の部分と、木製の部分から成る。筒の根元には何やら複雑な機械が付いている。何となくボウガンに似ている…とサフィアは思った。
「矢か何かを飛ばす機械なのかも…何だか凄く嫌な予感がします。早く逃げた方が良さそうです!」
「そうだな!」
アルス達が馬を反転させて走り出した直後…

パパパパパァーンッ!!!!

数百個の風船を一斉に割ったような乾いた音が辺りに鳴り響いた。
「な…何だぁっ!?」
アルスは慌てて振り向く。
「う…嘘だろ…おい…」
次の瞬間、彼は自分の目を疑った。
目の前で起こっている事が理解できなかった。
南蛮兵達の半分以上が血を流して倒れていたのだ。
既に絶命している者、傷口を抑えて苦しんでいる者、馬が倒れて地面に放り出された者…皆、今の一瞬でやられたらしかった。
「サフィアーッ!!!」
アルスは馬を降り、地面の上にうずくまるサフィアに駆け寄った。
「ァ…アルスさん…逃げ…て…」
彼女の服は腹の部分が真っ赤に染まっていた。
「しっかりしろ!今、血を止めてやるからな!」
アルスはサフィアの服を割いて傷口を見た。それは小さな…本当に小さな豆粒ぐらいの傷だったが、深く、内臓まで達しているようだった。
「チクショウ…何なんだよ!こりゃあ!?」
アルスは自分の服の袖を裂いてサフィアの傷口を縛り上げ、止血した。
だがこれは応急処置に過ぎない。早く適切な治療をしなければ命が危ない。
「そうだ!他の連中は…!?」
アルスは辺りを見回して皆の姿を探す。ドンがいた。ドンは馬に跨ったまま、目を見開いて呆然とこの惨状を見つめていた。
「ドン!」
アルスはドンに駆け寄る。
「……ッ!!!?」
ドンは死んでいた。彼の額にはサフィアと同じ小さな丸い穴が開いており、血と脳漿が流れ出ていた。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す