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アルス正伝
官能リレー小説 - ファンタジー系

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アルス正伝 104


「閣下!ガイアール中将閣下!敵が現れました!昨日の部隊です!」
慌てふためいた様子で部屋に飛び込んで来た若い士官を諌めるようにガイアール中将は言った。
「慌てるな。城内にいる限り、ヤツラは我々には手出し出来ん。ドンと構えておれば良いのだ」
「し…しかしヤツラ、投石器を持って来ております!」
「投石器…?」
考え込む中将。
(どういう事だ?まさか本格的に攻めて来る気か?だが、たかが300で城攻めは自殺行為だ。ヤツラの腹は一体…?)
…とその時。
「うわあぁ〜っ!!?」
「く…糞だぁ〜っ!!!!」
外から兵士達の悲鳴が聞こえて来た。
「な…何事だ!?」
二人は急いで建物を出た。
「な…っ!?」
扉を開けた瞬間、若い士官の目に入って来たのは眼前に迫った黒くて丸い物体だった。それは彼の顔面に命中して破裂した。
パァン!
「う…うおぉ〜っ!!?」
彼は最初、水をかけられたのかと思った。だがその次に襲って来た強烈な臭気、顔中にまとわりついた粘り気のある物体、先程の兵士の叫びによって、すぐにその正体が分かった。
「オゥエェ〜ッ!!!」
彼は嘔吐した。
「し…しっかしろ!たかが糞ではないか!!」
糞尿袋は後から後から雨あられと降り注ぎ、辺りは汚物と汚臭で満ちた。兵士達はただただ慌てふためき、逃げ惑うばかり。
「何と…何とえげつない攻撃…武人の風上にも置けぬ野蛮人共め…」
臭気のせいで痛む目を見開きながらその様子を見つめるガイアール中将。事ここに至り、彼は一つの決断を下した。
「こうなったからには、もうこの城には居られん!打って出るぞ!!アレを持って来い!ヤツラを皆殺しにしてやる!!!」
「「「おおーっ!!!!」」」
兵士達の怒声が糞尿に満ち満ちた城内にこだました。

「ワハハ…!!どうや、ワイらの秘密兵器の威力は!?」
「こいつはキツいぜぇ…」
「土人の集団とはいえ仮にもオルストリア軍の旗を掲げる部隊がこんな戦法を…辱でおじゃる」
「同感です…閣下」
ドン、エイラ、アルス、サフィア、アクシミリアン、シルビアは砦の外からこの様子を見ていた。
彼らの隣では南蛮兵達が5台の投石器を使い、砦に向かって次々に糞尿袋を飛ばし続けている。
「ところでぇ〜、ドンさん…」
サフィアがドンに尋ねる。
「砦の中の反乱軍さんは総勢一万…私達300では太刀打ち出来ません。そこの所はちゃんと考えておいでなんですか?」
「まかしとき!昨日と同じく別働隊が罠を張っとる」
「さすがドンだぜ!だがよ、また昨日みたいな火攻めをやるのか?」
「同じ手は使わへん。今日は水攻めや。近くに大きな川があるさかい、昨夜の内に簡単な堤防を作ってせき止めといたんや。そこに敵を誘い込む」
「分かったぜ!俺達が渡り切って、追撃して来た敵が川にさしかかった所で一気に水を流すんだな!?」

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