5大聖龍とその女達 95
「これはあの怪物がウルゥの体内に送り込んだ寄生虫だろう。」
「それじゃあ、これがマリーやエリアの中にもこれが……」
「ああ、まず間違いないだろう」
アレスは寄生虫を見つめる。
小さいとはいえ、身体の中に入り込んでしまえば忽ち身体の自由がきかなくなってしまう恐ろしい生物なのだ。
くそっ、こんなのがマリーやエリアの中に混じっているのか。
そう思うと腹が立ち、アレスはにょろにょろと動く寄生虫を足で潰した。
ぶちゅっ
「あの野郎、いきなりオレの宿主ん中に入ってきやがって!あぁ〜、やっと出れたのにまだイライラする!!」
魔物ウルゥは寄生虫を取り出した今でも相当頭にきているようだ。
ウルゥの髪の毛をクシャクシャと掻きながら、ブツブツと独り言を言っていた。
「おいラムサ、ヤツってまさかアイツのことか?」
「ああ、そのまさかだ。我はここにくる途中モンスターと遭遇して随分体力を使ってしまったし、アレスだって前の戦闘で負傷しただろう。悔しいが、現状ではウルゥに寄生している忌々しいヤツが最も戦力になる」
「確かにアイツは今の状況じゃ一番戦力になるが……でもさ、今のアイツは相当きてるぞ。このままじゃ何をしでかすかわかんねぇぞ?」
「おい、さっきからそこで何をヒソヒソとしゃべってんだよ!?」
突然、さっきまで独り言をブツブツとしゃべっていた魔物ウルゥがアレスたちに突っかかってきた。
「お前に頼みがある。マリーとエリアが敵の罠に堕ちた。我らはこの通り負傷していて力を出せない。認めたくはないが、この状況ではお前が一番の頼りだ。助けるのに協力してほしい」
「お、おい!!ラムサ!?」
「へっ、いきなり何を言い出すかと思えば、仲間を助けるのに協力しろだぁ?冗談じゃねぇ、俺はゴメンだ」
やはり簡単には引き下がってはくれないようだ。ラムサもそれを分かっているはずなのに、どうやって魔物ウルゥを説得させる気だ?
「勿論タダでとは言わん。もし協力してくれると言うのなら、マリーとエリアを無事救出できた後、アレスに好きなだけ抱かれるがいい。一度だけお前を見逃してやる」
「なっ!?」
アレスは自分の意思・・・というか人権を無視した発言に目を丸くした。
確かに魔物ウルゥはアレスと子作りしたがっていたから、彼女を戦力とするならこれ以上の手段はない・・・のだが。
「イ・ヤ・だ・ねッ!!」
「ええッ!?」
それを真正面から断られ、アレスはさらに驚いた。
さすがにラムサもこれには面食らったらしく、アレスのように驚きこそしなかったが両眉を跳ね上げ、目を少しばかり見開いている。