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5大聖龍とその女達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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5大聖龍とその女達 91

だがアレスにほうけている時間はなかった。
奇襲に失敗したアレスの背後に、緑の首なし巨人のパンチが迫っていたのだ!

ドゴッ・・・!

「ガッ、キ・・・!?」

アレスは背後にすさまじい衝撃が走ったかと思った瞬間、彼の身体は吹っ飛ばされた。
吹っ飛んだその先にある木にたたきつけられ、痛みを感じる間もなく血を吐いた。
だがアレスはそれどころではない。自分が何を食らってここに吹き飛ばされたのか。
なぜ自分をマリーに射られたのか。いろんな思いが交錯し、頭を整理するのに精一杯だったのだ。
いや、もしかしたらあまりの衝撃と激痛に、脳が痛覚を遮断していたからこその余裕だったのかもしれない。

ガサッ・・・

混乱するアレスの近くに、エリアのノドにナイフを突きつけたマリーがやってくる。
その顔に表情はなく、まるで木のうろのような瞳で黙ってこちらを見つめている。
それを見て、アレスは何とか彼女が正気でないことだけは理解できた。

「カ・・・カカッ、カ」

そのとき、変な声がアレスの耳に入った。
若い・・・女の声だ。だがその口調は大根役者にも劣る棒読み口調。
それが緑の巨人の胸元にいる、女性の笑い声だと一発でわかったものはいなかっただろう。
女性は緑の巨人の胸の中でぐったりとしているのに、その口だけはまるで別人のように動いていたのだから。

「ヨク・・・ヤッタ、ゾ。我、ガシモ・・・ベ」
「・・・ッ!あなた・・・最初から気づいていたのね・・・っ!?」

女性の口を借りているのか、緑の巨人が壊れた録音テープのようにしゃべりだす。
その言葉からマリーは奇襲をかけたつもりでいた自分たちが、実は相手にはめられていたことを理解した。
おそらくマリーとウルゥは先にこの魔物に襲われ、その操り人形にさせられているのだろう。
おそらく胸もとの女性と同じように。
ただウルゥは体質的な問題でもあったのか、拒絶反応が起こってあのようになってしまったのだろう。
エリアは自分たちがまんまと魔物の作戦にひっかかったことに、怒りと悔しさを隠すことができなかった。

「シンパイ・・・スル、ナ。オマエ・・・モ、ソ・・・ナ、ル」

ドシュッ・・・!

怪物は相変わらず聞き取りにくい調子でそう言うと、身体のまわりでゆらゆらと揺れるツタの1本をエリアの身体に突き立てた。
しかしエリアの身体を貫いたかのように見えたツタは、その先端をわずかにめり込ませる程度で、それほど深く刺さっていない。
傷口から『つつ・・・』と血が流れた瞬間、エリアは急に心臓が跳ね上がるのを感じた。

「う、ぐぅッ!?」

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