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5大聖龍とその女達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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5大聖龍とその女達 82


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その頃。ラムサの後ろにいたマリーとウルゥの2人はと言うと。

「ハッ!」

ドカッ!ドカドカドカッ!

「「「「オォ・・・・・・!」」」」

マリーの発した4本の矢が、迫り来るゾンビの眉間を次々と正確に射抜いていく。
ゾンビたちは短い悲鳴を上げるとその機能を停止してその場に崩れ落ちた。

「ふー・・・。もう大丈夫だぜ、ウルゥ」
「は、はい・・・」

マリーの呼びかけに申し訳なさそうに言うウルゥ。
彼女たちはパーティとはぐれてまもなくゾンビの襲撃を受け、戦っていたのだ。
・・・しかしウルゥは魔法使いのはず。
どうして戦わずに逃げ回っていたのだろう?

「すみません、マリーさん。私が魔法をうまく使えないせいで・・・」
「気にするなって。
 ウルゥが狙った敵だけでなく、まわりにも飛び火するって知らなかった私も悪かったんだから」

読者諸君は寄生魔物に気をとられて忘れているかもしれないが、ウルゥの実力はさほどたいしたものではない。
確かに魔法の威力こそすごいが、火の玉を投げつけたり軽い治療ができるなどの初級の魔法しか使えないのだ。
しかもまだ未熟だから的を外すこともある。
こんな森の中で火の玉を外したら山火事になりかねないため、彼女は補助に徹していたというわけだ。

「それに迷子になった以上、回復役が生命線だからね。
 力を温存しとくにこしたことはないさ」
「ありがとうございます。そう言ってもらえると幸いです・・・」
「いいっていいって。それより先を急ごう。
 せめて脱出できないまでもアレスたちを見つけないと!」
「はいっ!」

そう言って先頭を切って歩くマリー。その背後でウルゥの体内に潜む魔物は事の次第を見守っていた。

(・・・チッ!しくじったな。まさかこんなにも早くアレスとはぐれちまうとは。
 追いかけようにもこの霧じゃ動きづらいし、森と心中するわけにも行かねえ。
 ここはこの女に黙ってついていくしかないか・・・)
「ン?ウルゥ、どうかした?」

職業柄気配の変化には敏感なのか。猟師のマリーがウルゥを気遣う。
あわてて魔物は息を潜めて気配を消す。

「え?い、いえアレスさんたちのことが心配で・・・」
「・・・そうだね。早くあのバカと合流しないと!」

幸いマリーも人間ウルゥもアレスのことが心配だったらしく、それ以上の追求もなく済ませることができた。

(あ、危ねえ危ねえ・・・。このお嬢ちゃん、思ったより鼻が利くな。
 正体がバレないように、気をつけねえと・・・)

魔物ウルゥは内心冷や汗をかきつつ、森を進んでいく。
より強い魔物の子供を生ませるアレスのことを心配しながら・・・。

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