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5大聖龍とその女達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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5大聖龍とその女達 78

「おう。・・・ところでラムサのヤツはどこ行ったんだ?」
「ラムサちゃんならウルゥちゃんの様子が気になるって隣の部屋に行ってるわ。
 ウルゥちゃんにアレスちゃんを独り占めさせたくないんでしょ」
「かー・・・。口では偉そうにしててもやっぱりお子ちゃまだね。
 こんなときぐらいウルゥにいい目を見せてやれってんだ」

マリーの大人の発言に苦笑するエリア。
しかし彼女たちは知らない。ウルゥがどんな危険な状態にあるかということ。
そしてラムサが向かったのは、寄生魔物を倒すための相談をしに行ったということも。

――――

「『迷いの森』?そこにウルゥを治せるヤツがいるのか?」
「正確にはその先にある湖に住んでいるらしいのだが、な」

その頃。ウルゥの看病に一息入れていたアレスは、ウルゥの部屋の前でラムサの報告を受けていた。

「聖龍の『書』メルディア。
 彼女らの一族は神話の時代より知識を受け継いできたと言われる種族の中でも、知恵者と呼ばれていた女だ。
 彼女ならウルゥの治療方法も知っていよう」
「そうか。これでようやくウルゥを助けることができるな」

そう言うアレスの顔にはようやく背負っていた思い荷物を下ろせるような、心底安心した表情があった。
それは一生魔物に寄生されたままかもしれないという不安だけではない。
彼女の恋心を利用したような、やりきれない気持ちがそこにはあった。

「安心するのはまだ早いぞ?ヤツの下にたどり着くには迷いの森を突破しなければならん。
 誰一人帰還者がいないと言われるあの森をな」
「わかってる。オレたちが死んだら、もう誰もウルゥを助けられなくなっちまうんだよな」
「そうだ。我としてもあの娘を生きた屍にしたくない。
 何としてもあの森を抜けなくてはならん」
「ああ、わかってる、わかってるよ・・・」

アレスはそう言ってウルゥの眠る部屋のドアを見つめる。
人間ウルゥの告白、そして彼女を救うためとは言えその純潔を奪ってしまったこと。
いろいろな出来事がアレスの中で渦を巻き、混沌としている。
彼は彼女の治療を終えるまでに、ウルゥの想いに応えることができるのだろうか?
さまざまな思惑を残してその日の夜は更けていった・・・。

――――

そして次の日の朝。アレスたち一行はキッソス湖の入り口、迷いの森に向けて出発した。
霧の出やすい朝に出発したのは、モンスターの遭遇率が高いことを考慮したためだ。
実際、迷いの森についたのはお昼ごろのことだった。

「ここが迷いの森、か」
「不思議なところね。もうお昼なのにこんなにも霧が濃い」

それは何とも不思議な光景だった。
空は晴天で明るいのに、森の入り口から先は白い濃霧に覆われていて、奥の様子をうかがい知ることができない。

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