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5大聖龍とその女達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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5大聖龍とその女達 190


「し、仕方ねえだろっ?こんなすげえ弓買えるほど稼げる腕持ってねえんだから・・・っ!」
「違うわい、このドアホゥっ!?
 ワシャ、この武器を持ってくるときにおまえさんに何と言った!?
 『孫の悪さを許してくれた恩に報いるために、最高の一品をくれてやる』と言ったんじゃ!!
 金なんぞいらん!タダで持っていけぃっ!!」
「は、はぁっ!?た、タダぁっ!?」

老人の言葉にマリーは耳を疑った。
狩人であるマリーにはわかる。この弓が気安く誰かにプレゼントできるようなものではないと。
いくら向こうに負い目があるとは言え、それを持っていけとは気前がいいにもほどがある。
だが人間とは欲深い生き物である。
普段なら手に取ることさえためらわれるような、そんな逸品を手に入れる唯一無二のチャンスを棒に振ることはできない。
とは言え、『はい、そうですか。じゃあいただきます』なんて言うのもためらわれる。
良識と欲望の間で板挟みになるマリー。
動くに動けない彼女をひと押ししたのは、事の成り行きを見守っていた店主の孫ミラだった。
彼女はどうしていいのか迷っているマリーを見ると、カウンターから弓を手に取り、その手に握らせた。
驚くマリーにミラは言う。
「遠慮しないで持って行って、お姉さん。
 おじいちゃんも持っていっていいって言ってるんだから」
「で、でも・・・こんなすごいの・・・」
「いいの。その弓の代金は私が払うから」
「い、いや子供の小遣いでどうにかなるもんじゃあ・・・」
「私はお姉さんのお金を盗もうとした。それはとても悪いこと。
 お姉さんはそれを許してくれたけど・・・おじいちゃんは私を許してくれないと思うの。
 だから、これは私へのお仕置きなの。
 一生かかってでも、その弓の代金を払って見せろって、おじいちゃんの。
 だから、気にしないで?」

子供とは思えぬ深い考え。
しかし笑って流せない強い意志がその目には宿っていた。
あの祖父にしてこの孫ありと言ったところか。
マリーが何か言ったところで、2人は弓の返却を認めないだろう。
それが最後の一押しとなった。
「ん〜、まぁ、ミラがそこまで言うなら、貰っとこうかな」

「おお、貰ってくれるか。是非持って行ってくれ!」

こうして、マリーは『魔狼の合成弓』を手に入れた。
ちなみに、マリーが装備していた弓は店で供養してもらうことにした。
長年使い込まれた弓は所々修復の跡があり、下取っても売り物にならないからだ。
でも、この家族なら丁重に供養してくれるだろう。

「じゃあ、あたしもそろそろ行くよ。ミラ、オヤジさんと仲良くな」

「うん、お姉ちゃんもまた来てね」

「そいつは弓になっても、あのジャイアント・ウルフ、プライドの化け物じゃ。精々嫌われんようにな」

「おう、任しとけ。絶対に飼い慣らしてみせるさ」

そして、マリーは店を後にした。
取りあえず城の兵士に見つかるとまずいので、急いで走り去って行った。

「ねぇ。おじいちゃん?」

「ん、なんじゃ?」

「マリーお姉ちゃんって、何でメイド服着てるんだろう?やっぱりお城のメイドさんかな?」

「うむ、最近の若者の流行はわしには分からんわい」

「?」


祖父の言葉を理解できないミラが首をかしげていたその頃。
クイーンマリア城地下では人柱となったティルティオラのもとに客人が来ていた。

「これはこれはアレス様。昨日はこの国の民を救っていただき、誠にありがとうございました。
 私がこのような身の上でなければ、すぐにでもお礼を言いに行きたかったのですが・・・」
「あー、いいっていいって。俺1人でモンスターたちをやっつけたわけじゃないし。
 今日はアンタにお願いしたいことがあってここに来たんだ」
「お願い・・・ですか?どのようなことでありましょう。
 ここから動くことかなわぬ身ですが、できることなら何でも力をお貸ししましょう」
「助かる。実はウチのパーティのことなんだが・・・」

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