5大聖龍とその女達 162
一方のアレス一行は数人の兵士に囲まれ、城の地下へと連行されていた。
一人が道を先導し、後の数人がアレスたちに槍を突きつけながら、進んでいる。
アレスたちに逃げ場は無いのだ。
「おい、俺達をどこに連れて行く気だよ!」
「黙って歩け、ついて来れば分かる」
「やっぱり、このパターンだと牢屋が妥当よね〜」
「エリア、お前緊張感無さ過ぎ」
「ラムサ、あなたはどう思いますか?」
「さっきのあれだろう?あの言葉を知る人間など聞いた事が無い。となるとやはりティルティオラの手引きか?」
「ええ、私も同意見です。ティルティオラはこの城の地下に閉じ込められているはずです。ならば、その可能性はほぼ間違いないでしょう。」
「・・・ここだ」
アレスたちが連れてこられたところは牢屋。
だが、牢屋は牢屋でも大きな扉で覆われた他とは明らかに隔離された場所だ。
「おい、まさか俺達をここに閉じ込める気じゃ!?」
「いや、ここには我らが主君、ティルティオラ様が安置されておられる」
「ティルティオラ!?」
((・・・やはり))
「何で、聖龍をこんなところに閉じ込めてんだよ!?」
「それは、お前達が実際に会って確かめてくれ。我々から話すことは出来ない」
「そして願わくば、この国、いや世界を救ってくれ・・・」
「えっ!?」
そう言い残し、兵士は扉を開いた。
ゴォーっと大きな音を響かせながら、ゆっくりと開かれる。
開かれた先には壁に何十本もの鎖で縛られた美女が一人佇んでいた。
「ティルティオラ様、例の者達を連れてまいりました」
「ありがとうございます。では積る話もあるので、あなた方は下がっていてください。あと検閲の方もよろしくお願いしますね」
「「「はっ!!」」」
兵士達が去った後、ティルティオラはゆっくりと瞳を開ける。
緑のロングへアーに金の瞳。
こんな薄暗く、じめじめした場所なのに、肌や髪は全く痛んでいない。
だが、顔から下は無数の鎖で覆われ、確認できない。
「ラムサ、メルディア久しぶりですね。まさか二人同時に会えるとは思いませんでした」
「私もだ。話には聞いていたが、まさか本当にこの城に閉じ込められていたとはな・・・」
「その話は後ほど・・・あなたが聖龍の騎士たる方ですね。私は『聖龍の紋章』ティルティオラ、どうかティルとお呼び下さいませ」
「あ、ああ・・・俺はアレス、よろしく」
「アレス様ですね、まずはこのような場所で、しかもこんなみっともない姿でお会いになることをお許しください」
「いや、いいんだよ。こうやって無事に会うことが出来たんだし・・・」
「ありがとうございます。そう言っていただけるだけでも光栄ですわ」
それからエリアたちもティルティオラに自己紹介をした。
他愛も無い会話も弾み、重い空気が漂っていた部屋がいつしか明るい空間へと変わっていった。
「ところでティル・・・君はどうしてこんなところに閉じ込められているんだ?よかったら話してくれないか?」