5大聖龍とその女達 125
「アレスちゃ〜ん?中で何をやってるのかしら〜?」
「お願いです、アレスさんっ。早く出て来てくださいっ」
乱暴なノックをされ、今にも乱入しそうなマリーたちの声に驚くアレス。
ラムサの様子から、懸命に抑えてくれているようだが、あのドアが開け放たれるのも時間の問題だろう。
そしてもしこの契約の現場を見られでもしたら。
「ま、まずいっ。メルディア、急いで服を・・・」
「何をやってるんです!?早く服を着てください!
向こうの人たちが入ってきますよっ!?」
アレスはあわてて服を着ながら、メルディアにも協力を求めようとした。
しかし相手は聖龍の書。
一足先に事態とするべきことを理解した彼女は、すでに着替えを済ませつつあった。
それに対し、アレスは何か納得できないものを感じつつも、この後の惨劇を回避するために服を着込むのだった。
マリーたちが部屋に入ってきたのはアレスが着替え終わったほんの数秒後のことだった。
とりあえず、服を着替えたことにより最悪の事態を回避したアレスとメルディア。
だが、服を着替えたところで彼女達の気分が晴れるわけではなかった。
「ねぇ、アレスちゃん?契約はもう終わったの?」
「あ、あぁ・・・たった今終わったところだ」
エリアの尋問が始まった。
顔はいつもどおりの笑顔なのに、その裏には今にも怒りが爆発しそうなくらい顔を引きつっていて怖い。
こんな顔で攻められたら、いつ殺されてもおかしくない。
「ふ〜ん、終わったんだぁ〜。で、契約ってどんなことしたの?」
「まさか、またラムサと同じように交尾したとか言うんじゃないよなぁ?」
「い、いくらアレス君でも・・・そんな事してたら許さないよっ!!」
・・・S○Xしてましたって言ったら絶対殺される。
アレスの脳裏に最悪の事態が浮かんでしまった。
ちなみにラムサとシズクはドアの前でアレスたちを見守っていた。
ラムサはアレスにご愁傷様と手を合わせ、かたやシズクはケラケラと笑っていた。
(くそ、薄情な奴め!)
「で、何してたの?」
「そ、それは・・・」
「私とアレスの知識を共有していたのよ」
「「「「えっ!?」」」」
これには当事者のアレスもびっくりした。
「知識の共有?」
「ええ、私は聖龍の書。どんな知識でも欲するわ。
書の試練は私の知識の一部とアレスの知識を共有させること。
流石に私の知っている知識を全部共有するのは無理でしょうけど、アレスには私の知識の一部を与えたわ。
もちろん、アレスの知識も私の頭の中に入っているわ」
「でも、ラムサのときは交尾したって言ってたぞ!?」
マリーがメルディアに食い下がる。
だが、聖龍の書であるメルディアに口喧嘩でかなうはずが無かった。