僕の侍女はどこにいるの? 96
相手を視認したディバーズはきょとんとし。
次の瞬間、驚きとうれしさに目を輝かせて声を上げた。
「りっ、リスペクトの旦那ぁ!?
もう魔界から帰ってきたのかよ!?」
まさかぼくがこんなにも早く帰ってくるとは思わなかったのだろう。
ディバーズはぼくが本物であるかを確かめるようにぺたぺたと触りまくる。
「く、くすぐったいよ、ディバーズ」
「おっ、悪ぃ悪ぃ。懐かしさのあまり、つい」
苦笑するディバーズに、ぼくも思わず笑顔を返す。
しかしいつまでも和んではいられない。
初めて出会う子供たちのことも気になるが、それよりも発情して苦しんでいるエリーたちを助けなくては。
ぼくは気を引き締めると、エリーたちの様子を聞いた。
「ごめん、ディバーズ。
いろいろ話したいこともあるんだけど、それよりエリーたちの病気のことを知りたいんだ」
「!? 旦那、どこからソイツを?」
「帰ってくる途中で会ったシーリィから。それより大丈夫なの?エリーたちの具合は?」
「ちょ、ちょっと落ち着いてくれ、旦那!今話してやるから!」
ぼくの剣幕に押され気味のディバーズは、ぼくを落ち着かせながらエリーたちの病状を語った。
彼によると、今エリーたちは小康状態を保っているらしい。
しかし油断はできない状態らしく、ディバーズや父さんたち男性が近づいただけで発情してしまう状態だという。
当然、男性の医者を近づけることはできないので、元の外見に戻ったテオドラや出産を終えた龍巫女のシャーテさんと鬼巫女のユカさんが診てくれているらしい。
「詳しいことはオレよりテオドラの姉御たちに聞いたほうがわかるだろ。
ちょうど今、診察してるからリビングで待っててくれ!」
「ちょ、ちょっと待てよ、リス兄ぃ・・・」
と家の中に入ろうとしたとき、背後からようやく追いついたシーリィとフィリナが息を切らせながらやってきた。
し、しまった。エリーたちのことが心配すぎて、2人のこと忘れてた。
ぼくは一言謝ろうとすると、それより先にディバーズが口を開いた。
「シーリィ!フィリナ!いいタイミングで帰ってきた!
オレと旦那は姉御たちと話があるから、その間ガキどもの面倒を頼むわ!」
「「ええっ!?ちょっ・・・!!」」
「頼んだぜ!」
返事を待たず、家の中に逃げるディバーズ。
2人の訴えるような視線に、何か言ってあげるべきなんだろうケド・・・。
「ごめん、そういうことでお願いするね」
「「ええっ!?」」
まさかぼくにまで言われるとは思わなかったのだろう、背後で2人の絶望の叫びが上がった。
うう、ゴメンね2人とも。後でちゃんと御礼をするから!