「もう・・・・私ども巫女が言ってはなんですが、妊娠した方々については魔法や薬で性欲を抑えるしかないのではないでしょうか。呪いについては母子ともに心配はありませんので、とりあえず押さえ込んでしまうより無いと思います。」
「そうだな・・・。しかし実際、あちこちに相談してはみたのだが多くで何か問題があるといって断ってきた・・・。」
コン　コン
「ライール様、失礼いたします。」
入ってきたのはややお腹のふくらんだレスカだった。ライールのそばに寄るとライールに何事かを耳打ちした。
「わかった。お二人には申し訳ないのですが、しばしここでお待ちいただけませんか。」
言うとライールは別室に去っていった。そして、別室。彼の前には初老の紳士が１人と魔族の中年男性が１人、それぞれ席に座して待っていた。
「このようなところにようこそお越しくださいました。私は評議員のライールです。」
「実は、儂からでもあるが、詳しくは彼から。今の君の悩みも解決できることと思う。」
「はて、ゲインハルト議長、どういうご用件でしょうか？」
「はじめまして。私は魔王陛下の侍従部長官を務めておりますサイルレイズと申します。本日は魔王様の名代として参りました。単刀直入に本題に入りますが、実は御貴殿の嫡子のリスペクト殿をお借りしたいのです。これが我が主の書状です。」
魔王の紋章が刻印された上質な封書が差し出された。
「読ませていただきます。」
読み終えて、彼の顔には驚愕の表情が浮かんでいた。
「お引き受けいただけましょうか？」
「・・・・・・・。ともかく本人の意向もあります。話してみますのでしばしお待ちください。」
待たせていた二人の巫女も呼んでリスペクトの部屋に入ったライール。そこには末の子の世話の為リタはおらず、代わりにミリィがいた。
「リスペクト、お前によい話がある。新たな冒険と射精、それにこんどこそ解呪できるぞ。」
「え？父さん、ほんと・・うっ！」
丁度ミリィにパイズリされていたところだったリスペクトは、会話しながら射精してしまった。そのリスペクトの巨根から出る膨大な精液をミリィが手馴れた様子ですばやく魔法の文様の描かれた小壷で受け止めてゆく。部屋の中には同じような文様のある壷や小壷がいくつも並んでいる。
この壷は魔法によりゆっくりとではあるが浄化の力があり、大量の精液に残った呪いが四囲に撒き散らされて大気が瘴気と化すのを防いでいる。
「もう・・・今日だけで１０回目の射精です。」
「まったくある意味羨ましいかぎりだが・・・それどころではないな。実は、リスペクト、お前に魔界へ旅してもらいたいのだ。」
「「ええっ！！」」
リスペクトとミリィが同時に大声を上げた。
「どういう・・ことなのでしょうか？」
「実は、魔族の中でもミリィもそうである淫魔を始め多くの種族があるが、うちいくつかの種族が生殖力の低さから絶滅の危機に瀕しているらしい。それでリスペクトの生殖力で彼女たちの子孫をなんとかならないかということになったのだ。魔族相手のＨなら寧ろ残留呪念も相手の生命力になるから心配要らない。どうするね？」
「・・・・・。わかった。行ってみるよ。」
「よし、決まりだ。」

そして僕は魔界へと旅立つことになったんだ。
一応の準備を終えた数日後、僕は妊娠中のみんなや父さん母さん、それに子供たちに見送られて次元の扉へ入るべく黒の洞窟へ入った。
僕はサイルレイズさんに借りたインキュバス用の服を性欲を抑えるために着用してる。これは本来は淫魔族の男性の使う物で精力をエネルギーに魔法障壁を身体の周囲に張り巡らして防御力を高めてくれるんだ。同時に性欲をある程度抑えてくれるそうだけど・・・どのくらい持つかはわからないって言われてる。他にも父さんたちからはいくつか魔法のアイテムを借りてきた。
みんなは妊娠させちゃったから置いてこざるをえなかったので僕と一緒に洞窟を行くのは魔界の官房長官のサイルレイズさんだけ。
「リスペクト殿、魔王陛下は私を官房長官に任じられました。その権限で魔族はある程度私たちに素直に道を空けるでしょうが、人間界において熊や獅子が人をも食するがごとく私どもにも襲ってくる魔物や、人間界の山賊等がいる如く私のような者にも襲ってくる魔族もいます。卒業試験でここを一度は切り抜けておられるので大丈夫とは思いますがくれぐれも用心くだされ。」
「はい。さすがにもうバランみたいなのには遭いたくないけどね。」
「それはさすがにないでしょう。」
そのサイルレイズさんは魔族らしい真っ黒い肌に白銀の髪、銀の縁取りをした黒く輝く鎧、腰に漆黒の長剣を左右１振りずつ差してる。二刀剣術を使うらしい。そういえば冒険はあの卒業試験以来だ。なんだか楽しみだけど、魔界についてからがちょっと心配だな。
とりあえずアカデミーで薬を出してもらったから、性欲はある程度抑えられてるけど、薬があるうちに魔界に着かないと・・・。