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僕の侍女はどこにいるの?
官能リレー小説 - ファンタジー系

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僕の侍女はどこにいるの? 30

「すごい・・・」
いつかの薔薇三連剣技もだが、この一撃も凄まじいものだった。
「いや・・・みんな、面目ない」アルスはそういって頭を下げた。
「一体、何があったんですか?」
リスの怒号に煌く瞳に睨まれて、アルスは親に叱られる幼児そのもので答えた。
「妙な装置のある部屋に入ってな、動かしたんだ。そしたら、アレがワンサカやってきて攻撃しだしたものだから、逃げたわけさ」
『ただ逃げたんじゃなくて、狭い通路でカタをつけるつもりだったの』
「だけど、なぜかキミらの居るところにたどり着いちまったんだ」
「なるほど・・・・で」
ディバースさんが、上を指差した。残り物が居るぜ、と。『ゲゲッ!!』
・・・先刻倒したはずのサイクロプスが、ゾンビ化して甦ったのだ!!
「わぁあっ!!」
一同、距離をあけるも、すばやく肉薄する!
「先刻より速い!!」
マリューカさんが舌打ちするほど、強力になってしまった。
「悪い、オレの所為だ」
「全くです!!」
エリー、ルディア、ルチアが同時に怒号したのも、無理はなかった。
「巨人には三方からけん制しつつ、ダメージを溜めて!」
標的をバラけさせて混乱させる策に出る。マリューカたち魔族三人が入れ替わり立ち代りにサイクロプスを切りつける。
「それと、アルスさん!」
リスは通路を指差して言った。
「強いのは認めますけど、責任とって止めて下さいね、アレを!」
通路には新手のリビングデッドらがひしめき合っていた。
『なんかの転送装置だったのね。それをあんたが入れっぱなしで逃げたから・・・』
「ううっ・・・分かったよ」
家内の低い声音に、アルス氏は、うべなった。
『上手くいけば、帰れるもの。保障は出来ないけれど』
「ああ、何はともあれ、コレでさよならだ」
失敗して留まってしまうにしても、ここで朽ちるのも一興か。そう自嘲した。
「んじゃ、元気でな」
両手剣に炎を纏わせて、屍たちの群れに殺到した。技の怒号と共に消えて行き、斬り残しの何体かも、炎で粉砕された。 これで、残るは巨人のみになった。
「邪魔者は消えた?」ルディアが掌に魔力を溜めながら呟く。
「うん、こいつはじっくり片付けよう」
リスは通路をチラリと見やってから、巨人を睨みつけた。
さぁ、どう屠ろうか?と。
リスたちが腐敗したサイクロプスと対峙しているなか。
アルスは、十分以上走りながら斬り散らかして行き、装置のある部屋に付いた。
召還陣らしい魔方陣が発光しており、そこから、リビングデッドが沸いて出てきていた。
「まずは止めないと!」
記憶を頼りに、発動元らしい水晶に近づき操作すると、この出てきた分で沸いては来なくなった。
『記憶力だけはいいのよね』家内は遠慮なしに毒を吐く。
そして、それらを片付けてから、注意深く魔方陣を眺める。
『アルス、ここと、この図形を変形させて。コレ自体、結構古い型の陣よ』
元が中級クラスの精霊だけに、魔法陣などには詳しかった。そしてある程度の古さは、異界のソレとの互換性も生み出していた。無論、全く同じではないけれど。
『そう、ソレで良いはずよ。あとは転送式を組むだけ』
「ようやく帰れるな」
『案外、岩の中だったりしてね』
そうなりゃ、ロストするだけだ。どの道、コレしか手段はない。
「・・・じゃあ、云ってみようか」
『ええ・・・』
そうして、転送の術式を発動させると、彼と一振りの刃は共に消え去った・・・。


サイクロプスゾンビと対峙する僕たちの後ろから、何体かのリビングデッドがやってくる。
おそらくアルスさんが討ちもらしたのだろう。
「このくらいの数なら私が何とかするわ。」
言うが早いかマリューカさんが飛び込んでゆく。
ビャシュ!ズバ!ドス!バシ!キン!
彼女が次々に倒してゆくなか、僕たちはサイクロプスゾンビに火炎系呪文を次々に叩き込んでゆく。
「火炎渦!」
「火鞭乱撃!」
そして、先ほども使った雷電火球弾[プラズ・ファイ・ボル]も打ち込む。
ガガガン!
もう一撃!
「火球連輪!」ルチアが多数の火球を撃った。燃え盛るサイクロプスゾンビを取り囲むように飛んでいき、一斉に命中!
さらに激しく燃え盛ったのもまもなく。
サイクロプスゾンビは灰になって滅んだ。
「はぁ、はぁ・・・」
さすがに大きな呪文を打ったルチアはかなり息が上がっている。
「ルチア大丈夫?」
「ええ・・・なんとか・・・・・でも〜・・しばらくは・・呪文は・・無理・・」
そうしている間に、リビングデッドを残らず討ち果たしたマリューカさんが戻ってきた。
「全部倒したわ。あの程度なら数さえこなければなんでもないわね。」
「マリューカさんお疲れ様。そうそう。ルチアがへとへとなんだ。しばらく背負っててくれない?」
「解りましたリス様。」
僕たちは前進を再開した。
2時間くらい歩いた頃。
通路の先が下りる階段になって右に曲がっていた。
慎重に僕たちは降りてゆく。
2階分ほど降りたその先にはまた通路。
今度は道そのものはまっすぐなんだけどあちこちに左右に分かれ道があるんだ。

そして。
最初の分かれ道からダークプリーステス、魔族の女性司祭が2名現れた。
!!

それは一瞬のことだった。
「・・・・・・!」
彼女たちの突き出した右手が閃光を放つ!
かろうじて僕は右の敵が僕を、左の敵がエリーを撃ったことを認識して意識を失った。

「・・・・・・・・・・・・・」
僕は眼を覚ました。

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