僕の侍女はどこにいるの? 105
ましてサキュバス族のミリィもいる。
万全の体勢で行かないと、ミイラ取りがミイラにされかねないぞ?」
「わかってるよ、父さん。
だけどぼくのせいでみんなああなってしまったのなら、それを一刻も早く助けてあげることがぼくの責任だと思うんだ」
「う、ううむ・・・」
一歩も引こうとしないぼくに、さしもの父さんも低くうなる。
もちろん父さんたちだって、本心では早くみんなを助けたいとは思っている。
しかし今の彼女たちは、ぼくの子供を孕むことを至上の喜びとする孕み奴隷。
そんな飢えた彼女たちの相手をさせるわけには断じて行かないのだ――。
お互い一歩も引けず、膠着状態になったとき、今までぼくの腕に抱きついて沈黙していエリーがその口を開いた。
「・・・リス。それはちゃんと私のことを考えて言ってる?」
「え・・・?」
予想だにしない質問に、ぼくは面食らう。
まさかリディアたちのことを話していて、一足先に回復したエリーのことを話題に持ち出されるとは思わなかったのだ。
「リス?あなたが私のことを考えて決めたことなら、私は何も言わない。
昨日、私と約束したよね?もう私の前からいなくならないって」
「あ・・・!」
そこまで言われて、ぼくはようやくエリーの言いたいことを悟った。
そうだ。今ぼくが無理をして動けなくなるようなことになったら、それこそ本末転倒じゃないか!
ぼくが治療に失敗して死んだら、リディアたちはどうなる?
立ち直ったエリーだって、またああなってしまう可能性があるじゃないか!
ぼくはみんなを悲しませたりしないって決めたばかりなのに・・・。
みんなを助けたいばっかりに、ぼくは一番大切なことを忘れていた。
それに気づいたとき、ぼくの頭は急激に冷静さを取り戻していった。
「・・・ゴメン、エリー。ぼく、間違ってた。
エリーのためにも、みんなのためにも、ぼくは死んじゃいけないんだよね?」
「ん。わかればよろしいっ」
ぼくの答えに、エリーは満足そうな笑顔を浮かべて軽く唇にキスをした。
本当はもっと身体を重ねたいだろうに、その優しさが痛いほど伝わった。
「・・・この埋め合わせはまた今夜、ね?」
「うんっ♪期待してるからね?」