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女戦士ユーナの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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女戦士ユーナの冒険 97

ダキア王国はラテンの王族を保護し、ラテン奪還のための軍を派遣した。圧倒的な兵力にビサンティウム陥落も時間の問題かと思われたが、共和国側には秘策があった。
魔王と不戦条約を結び、魔王軍を引き入れる形でダキア軍と衝突させたのだ。
魔王としても、この時点で人間世界の盟主であるダキア王国の弱体化は願ったり叶ったりであり、(表面上は)共和国に協力する形で軍を派遣したのである。
それに不意を突かれたダキア軍はひとたまりもなかった。
思いもよらぬ魔王軍の攻撃に窮地に陥ったダキア軍は、要衝であるブランシュ城まで撤退するが、そこから持ち直し、勇者とグレムの助けで魔王軍の駆逐に成功した。
勇者は魔王軍四天王の一人を倒し、魔界の再封印に成功するが、戦いで国力を使いきったダキアは自領を回復するどころか、共和国の巧みな外交によって周辺国に領土を削られ、今の中流国に転落したのである。
一方、魔王と手を組んで世界を混乱に陥れたラテン共和国だったが、終戦後はその所業は不問とされた。
共和国の外交努力もあるが、グレムが不問とした事が大きい。
彼は自分の直系子孫が追放された事も怒っていなかった。むしろ人間達の自主的な新しい試みに興味を示し、応援する側であったのだ。
ゆえに共和国政府が自らのの正統性を保つためにグレムを悪役にした事すらも気に止めていなかった。
こうして中流国に成り果てたダキア王国だったが、現在は周辺国とも交易し、ラテン共和国とも表面上の関係は悪くない。
ただ常に列強諸国に対する警戒は怠っていない。
現在のラテン共和国国境であるブランシュ城には、旧ラテン王族に大公位を与えて防備させ、他国の国境にも守備兵を配置している。
また、主流である魔導騎士団の拡充と、潤沢な資金による傭兵団を両輪として軍の充実も計っている。
少なくとも、ダキア王国は簡単に食べられる“お菓子”ではないのである。
そんな中でエチカの表情が冴えないのは、やはり国際情勢が芳しくないのだろう。彼女はグレムの娘ではないが、丹精込めて育て、身体を重ねてきただけに心境も理解できる。
「女王陛下が身重な時期だけに、少し不安なのです…」
普段は見せない不安をグレムに打ち明けるエチカ。
「またもやか!女王はお盛んじゃのぉ…20人とは恐れ入るわい」
マーニャの妊娠を聞き、夫と言うよりは父親のような表情でグレムが言う。腹の子の父親はグレムでないが、それぐらいで文句を言うグレムではない。
「卓抜した軍才をお持ちの陛下が身重の今、事があれば国民が動揺します」
そう言うエチカだが彼女とて女…子を産みたい気持ちは理解している。

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