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女戦士ユーナの冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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女戦士ユーナの冒険 107

「牝豚が肥え太るのは…!!」
自らの演説に酔ったようにナパローニが声を一段と張り上げる。まるでダキア攻略に自信があるように。
「我らに喰われる為ではないのか!?家畜のように!!」
全く言いがかりもいいところだが、聴衆にはまるで正当性があるように聞こえ、大きなどよめきが上がる。
「そんな家畜を諸国が狙っている!!しかし、最も公正に富を扱える我ラテン帝国がそれを支配するのが正しいのではないか!?」
まるでダキアの征服が正しい事のように聴衆には思え、それを支持するような怒号に似た叫びがあちこちであがる。その声をナパローニは満足そうに受ける。
「「皇帝に賛同を!!」」
「「皇帝と共に戦いを!!」」
ナパローニの演説に酔わされた聴衆が口々に叫ぶ。つい最近まで民主制だったラテンでは、まだその権威は薄い。それを確固たるものにする為には、実績もさる事ながら、国民に甘い夢を見させる必要がある。
「…ダキア征服は独裁者を太らせ共和制を崩壊させるのが解らないのか…諸君、帰ろう」
そんな中、一人のオークを中心とした数名の元老院議員達は彼と共に静かに議事堂を去って行った彼らは共和制を破壊させようとするナパローニに対して腸を煮えくり返していた。
このオークの名はビルデウス。ラテン共和国元老院議員の一人で穏健派の領袖一角を務める男である。彼に従うのはナパローニに実権を奪われた穏健派議員達である。
議事堂から退出し屋敷に帰るビルデウスは苛立っていた。
「皇帝になったナパローニはダキアを征服した後は権力を拡大してラテンを支配する気だ。このままではラテンは滅ぶ!!」
屋敷に戻ったビルデウスはナパローニの野望を阻止すべく仲間達と話していた。
「しかしビルデウス先生、彼の支持率は半端無く凄まじいですよ」
「ええ、劣勢だった東方との戦を有利にし、上手く和平に持ち込み失業対策も上手く行ってます。彼を暗殺しても世間の怒りを買うだけです」
「分かっている…だがこのままで良いのか!?」
「一つ方法がありますよ」
打開策が見つからぬ中、一人の若い議員が意見を出した。
「おお、デュラン君!その方法とは何だね?」
彼の名はデュラン、エステアの次男でゴードンの双子の弟である。
デュランは幼少期から腕っ節と機知に長け、16歳の時に冒険に旅立った。その強さで僅か数年で一流冒険者の仲間入りを果たし、その人気に目を付けたビルデウスの支援で去年、元老院議員になったのである。

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