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姉妹と少年〜復讐者たち
官能リレー小説 - ファンタジー系

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姉妹と少年〜復讐者たち 40

次の瞬間、ヒューストンの手が淡く光り、テオの全身から力が抜けていった。

「ヒュース・・・トン・・・さ・・・!?」
「申し訳ありません、テオさん。ちょっとの間、眠っててください。
 あなたはこれからすることを知らないでいたほうがいい」

トサ・・・っ。

抵抗することもできず、ヒューストンに倒れこむように眠ってしまったテオ。
ヒューストンはその安らかな寝顔を見て、再び心に罪悪感が湧いてくるのを感じた。
しかし今の自分にはこの方法しかない。
世界を脅かし、罪もない人々を苦しめる魔女に対抗するには『これ』しかないのだ。
ヒューストンは罪の意識を振り切り、自分を奮い立たせると、テオの衣服を剥ぎ取ってベッドに寝かせる。
そして自分も同じように全裸になって仰向けのテオの上にまたがった。

「本当に・・・本当にすみません、テオさん」

ヒューストンは最後にそれだけつぶやくと、意識を集中して何やらつぶやきだす。
それは彼が信仰している神への祈りと制約の言葉であった。

「主よ・・・神よ・・・汝が忠実なる下僕、ヒューストン・オリジリアナがここに報告します。
 我、ヒューストン・オリジリアナはこれより女として生き、この少年テオと一生添い遂げることを・・・」

それはヒューストンの信仰している神への結婚の報告であった。
彼女の信仰している神は博愛精神を掲げている一方、とても純情で、一途に異性に尽くす信者に祝福としてさらなる力を与えてくれる。
しかしその代償として、破局を迎えるとその信者は神から与えられる加護の力が一気に減少する。
ゆえにヒューストンの信仰する教会では、一度恋に落ちたら死ぬまでその相手を支え、添い遂げなければならないと定めている。
それが神の意思だから。
つまりヒューストンはこの先、一生女としてテオと添い遂げる代わりに、魔女に対抗する力を手に入れようとしていたのだ。
もちろんこれは見返りを求める呪いではないので、彼には何の問題もない。
しかしいくら魔女を倒すためとは言え、これまでの自分を捨てるとは・・・。
よほどの覚悟と信念があるのであろう。
そんな中、ヒューストンの報告を聞き届けた神が彼女に問いかけた。

(我が下僕、ヒューストン・オリジリアナ。
 汝、これまでのすべてを捨て、この者に終生添い遂げることを誓うか?)

それは彼女の信仰する神からの最終通告。
今なら後戻りできるという神様なりの慈悲なのだろう。
だがヒューストンに迷いなどあろうはずがない。
これから一生、テオに添い遂げ、尽くす覚悟がなければ、魔女を倒すことなど夢のまた夢物語なのだから。
ヒューストンはわずかな逡巡も見せずに、即答した。

「誓います」
(では、その証を我に見せよ)

その言葉に、ヒューストンは無言で自分の服に手をかけた。

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