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姉妹と少年〜復讐者たち
官能リレー小説 - ファンタジー系

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姉妹と少年〜復讐者たち 32

テオにはまだ、自身の腕が以前のように剣を振るうことができないことすら知らないのだ。
アンジェリカはすぐそこに迫った別れ、そして性欲と罪悪感との間でひたすら耐え続けた。

「・・・あら。そんなにつらいんだったら、我慢せずに食べちゃえばいいのに。
 それが生き物のあるべき姿ってヤツじゃないかしら?」
「ッ!?」

すると突然背後から聞いたこともない、ひどくなまめかしい女の声が響いてきた。
驚いたアンジェリカが振り向くと、そこには仮面をつけた、喪服姿の女が立っていた。
アンジェリカは知るよしもなかったが、それは世間をにぎわす稀代の愉快犯。『魔女』ロザリー・ミーレンその人であった。
信奉者のシスターの死からテオたちの居場所を知った彼女は、彼らの顔を一目見ようとわざわざやってきたのであった。
そんなことなど知らないアンジェリカはからだのうずきすら忘れ、すぐさま戦闘態勢を取る。
ちらりと背後に目をやる。そこにはこの異常事態の中、安らかに寝息を立てるテオの姿が。
どうやら魔女が彼を起こさないよう、何かやっているようだ。
それを証明するかのように、魔女はくすくす笑いながらこう言い放った。

「クスクス・・・そんなに警戒しないで?
 私はただ、不完全ながらも呪いを解いた連中に挨拶しに来ただけなんだから」

その次の瞬間、魔女の姿は幻のように掻き消えた。
驚いたアンジェリカがあたりを見回すと、魔女はベッドのそばでテオの寝顔を眺めていた。

(い、いつの間に・・・!?移動したのが見えなかった・・・)
「うふふ・・・かわいい寝顔・・・♪
 それに・・・いろいろとおもしろそうなモノを持っているわね・・・」

魔女はそう言うと、青い光がともった人差し指をテオの額にそっと乗せた。

「テオから離れろっ!?」

それを見て危険なものを感じたアンジェリカは、懐からナイフを取り出して斬りつけた。
しかし魔女は霞のように消えると、いつの間にか部屋のドアに立っていた。

「うふふ、そんなに興奮しないで・・・?せっかくあなたの望みをかなえてあげたんだから・・・♪」
「のぞ・・・み・・・?」
「それは見てみてのお楽しみ。
 私はこれから逃げた飼い犬にお仕置きしなくちゃならないから、これで失礼するわね?」
「ま、待ちなさい!」
「そんなに心配しなくてもすぐに会えるわよ。それじゃあ、ね?」

その言葉を最後に、魔女は陽炎のように姿を消した。
いったい何のことか・・・そう思ったとき!

「キャアアーーーーッ!?」
「クー!?シャーレ!?い、いやあぁ〜〜〜ッ!?」

隣の部屋でジェシカとフロールの悲鳴が響いた。
そう。魔女は逃げた奴隷の2人に罰を与えるべく、この部屋を後にしたのだった!

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