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姉妹と少年〜復讐者たち
官能リレー小説 - ファンタジー系

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姉妹と少年〜復讐者たち 29


「ちょ、ちょっとテオ。脅かさないでよ。
 ドアノブを握ろうとしたらいきなり名前を呼ばれてビックリしちゃったじゃない」
「あ、すみません」

テオは脅かしたことを謝罪しながら、ふと疑問に思う。
なぜ自分はドアの向こうに人がいて、それがアンジェリカだと思ったのだろう?
しかしその疑問はアンジェリカの次の質問ですぐに忘れてしまう。

「それで?傷の具合はどう?」
「え、ええ・・・大丈夫です。まだちょっと痛みますけど、すぐに治りますよ」
「ちょっ!?アンタ、その両手はつながったばっかりなのよ!?
 いきなりそんな無茶しないで!」

安心させようとテオが右手をぐるぐる回すと、アンジェリカはビックリしてそれを止める。
そりゃ目の前で腕が腐り落ちるのを見てしまった側としては気が気でないだろう。
司祭の力を持つヒューストンですら、冒険に出るには相当のリハビリが必要と診断したくらいなのだから。
もっとも激痛で苦しみ、気を失っていたテオはそれを知らない。
アンジェリカもその事実を伝えることができず、こうしている今もいつ伝えるべきかどうか悩んでいる。
だが残酷な事実を伝える日はそう遠くないだろう。
敵討ちを目的とするテオと違い、ジェシカとフロールはいまだ魔女の呪いにとらわれたままなのだから。

「・・・?どうしたんですか、アンジェリカさん?」
「え?」

アンジェリカの様子に不思議なものを感じたテオは、きょとんとした顔で質問する。
それに対し、アンジェリカは内心の動揺を悟られまいとしつつ、懸命に適当な理由を考え、口にした。

「な、何でもないわよ?ただ弱いと思っていたあなたも、ちゃんと男の子なんだなって思っただけ!」

しかし言った後でアンジェリカは激しく後悔。
よりにもよってなんでこんな話題を。これでは自分がテオに気があるようではないか。
そう思ったのだ。幸い鈍感な彼はその強さを認められてうれしそうに微笑むだけだったが。
テオの様子にアンジェリカは必死に自分を叱咤する。
言わなきゃいけないことを先送りにしたところでどうなる?
遅くなったらなった分だけ、テオを苦しめるだけではないのか?
言え。言うんだ。今こそ、テオにパーティから離脱するよう、説得するのだ・・・!
アンジェリカが瞳に決意をみなぎらせて顔を上げた。

「テオ?ちょっと大事な話がある「うわあぁぁッ!?」

そして口火を切ろうとしたそのときだ。
隣の部屋からヒューストンの悲鳴が響いてきた。

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