姉妹と少年〜復讐者たち 22
「く・・・うぅッ!?」
「こ・・・れはっ!?」
「私が意味もなくダラダラしゃべっていたと思うの?
私はあなたたちがここに入ってきたときから、すでに攻撃を開始していたのよ。
この無色無臭の秘術、『淫魔の毒霧』でねぇッ!!」
元々中途半端に解かれた呪いで精液中毒になっていた2人にとって、この手の魔法は強烈に効果を発揮した。
娼婦風の衣装は汗以外のものでしとどに濡れ、身体が透けて見えてしまっている。
ピンク色の乳首は硬くとがり、その頂点からは白い液体が噴火寸前の火山のように痙攣している。
下半身にいたっては愛液が出すぎて、今にも足を滑らせそうだ。
生まれたての小鹿のようになってしまった2人にシスターは薄ら笑いを浮かべながらこう言い放った。
「ふふふ・・・安心しなさい?
せっかく手に入れたあの方のモルモット・・・そう簡単に殺したりしないから。
あなたたちには私があの方に近づくための礎にしてあ・げ・る・・・♪」
そのとき。妖艶な笑みを浮かべていたシスターは急にその顔をゆがめた。
「・・・チッ!どこか無粋なやからが来たようね!
せっかくのお楽しみを邪魔するなんて・・・!
目覚めよ!我が番兵たちよ!無粋な侵入者たちを追い返しておしまい!」
――――
その頃。ヒューストンとアンジェリカはようやく目的地の教会に到着したところだった。
早くジェシカとフロールを助けなければ。そう思って境界の敷地に入ったその瞬間。
ボコッ!ボココッ!
墓場から突然何かが飛び出した。それはアンデッドの群れ。
その中にはシスターの犠牲者と思わしき、きれいな顔をとどめたままの女ゾンビも数名混ざっていた。
「ちいっ!?コイツら、墓場を徘徊しているとかいうアンデッド!?」
「まずいですね・・・!ここで時間をかけていたら、ジェシカさんとフロールさんが・・・!」
2人を素通りさせてアンジェリカたちを足止めするということは、相手は2人に勝てる絶対の自信があるということだ。
2人が負けるなんて思いたくないが、人数が大いに越したことはない。
しかしアンデッドたちがそれをさせない。
緩慢な、しかし猛烈な殺意がこもった動きでアンジェリカとヒューストンに襲いかかった!
だがアンジェリカもヒューストンも負けてはいない。
火炎魔法と対アンデッド用の浄化魔法で応戦する。
「どうします、アンジェリカさんっ!?このままじゃジェシカさんとフロールさんがっ!?」
「わかってるわよっ!でもこの状況じゃどうしようもないでしょっ!?」
こうしてアンジェリカとヒューストンはシスターの目論見どおり、境界を目の前にして大幅な時間のロスを食らってしまったのであった。
――――