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グラディエイター
官能リレー小説 - ファンタジー系

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グラディエイター 42

「キャッ!?」
「「「「アイナ(ちゃん・さん)っ!?」」」」

下っ端整備班に尻を蹴り飛ばされて無様に倒れるアイナ。
彼女らもまた国のためにその身を捧げたものだというのに、あまりにもひどい仕打ちであった。
しかしこれがこの国・・・否、世界の妊兵(ダイナモ)の標準的な扱いであり、現実であった。
マリーたちは倒れたアイナを助けに行くことすら許されず、次々と操機兵(グラディエイター)に乗らされ・・・いや積み込まれていく。
だが彼女たちの不幸はここで終わりを迎える。
機士(ハイランダー)のクリスたちが、マリーたちの積み込み途中でやってきてくれたのだ。
クリスたちの登場に、整備班の顔色がいっせいに変化した。

「貴様らッ!一体何をやっている!この国の存亡がかかった一大事ぞ!
 早くせんかッ!!」
「は、ははーッ!もも、申し訳ございませんっ!今すぐにっ!」

こうして妊兵(ダイナモ)の積み込みが終わった機体に、機士(ハイランダー)は次々とコクピットに乗り込んでいく。
そしてクリスは周囲に邪魔者がいないことを確認すると、背後からマリーを抱きしめ、申し訳なさそうに謝罪した。

「・・・すまない、マリー。
 今日も私が来るのが遅かったばかりに、またおまえたちにつらい思いをさせてしまった」
「お兄様・・・。いいのです。お兄様はこの国を守るために必要なお方。
 私たちの苦しみなど、お兄様のそれに比べればちっぽけなものです」

これはクリスとマリーが出会うたびに繰り返されている儀式のようなものだった。
クリスは妹に何1つしてやれない己の未熟さに苦しみ。
マリーはいつも自分を思って苦しんでいるクリスに、聖母のごとき慈愛でその心を癒す。
マリーはクリスが自分を思っているという事実さえあれば、それでよかった。
それだけでマリーはどんな苦しいことも受け入れられた。
そしてこの儀式は形こそ違えど、他の4機でも行われていた。
だがいつまでもそんな優しい時間に浸っているわけには行かない。
クリスは断腸の思いでマリーに今回の作戦内容を説明した。
魔獣の出現と敵兵侵入が同時に起こるという、めずらしくも危険な事態にマリーも目を丸くする。

「我々はまずヒメイルの町で暴れるゲルゾルを倒し、すぐさまポリゲム山脈へと向かうことになっている。
 おまえたちには多大な負荷をかけることになるが・・・是が非でもやってもらうぞ」

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