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グラディエイター
官能リレー小説 - ファンタジー系

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グラディエイター 40

町クラスの集落ともなれば、それなりの魔獣対策や装備が整っているはず・・・。
その疑問に対し、兵士が事実をありのままに伝えてきた。

「報告してきた兵士によると、襲ってきた魔獣は液体魔獣『ゲルゾル』。
 排水溝から出てきたとの報告を受けています」
「ゲルゾルかっ・・・!」

その言葉に機士(ハイランダー)たちの疑問は一気に氷解する。
ゲルゾルという魔獣は、いわゆる私たちの世界で『スライム』と呼ばれる生き物だ。
ただしゲームに出てくるスライムと違って、分裂で数を増やしたり合体して巨大化したりと、非常に厄介な能力を数多く持っている。
特に厄介なのが、小さな隙間さえあればどこからでも侵入可能という能力だ。
早くしなければ町の住人すべてがゲルゾルに食われてしまうだろう。
敵のおおよその情報を入手したクリスは、リーダーとして仲間たちに指示を飛ばした。
「よし!それでは我々5人でヒメイルの町へ向かい、ゲルゾルを殲滅する!
 ゲルゾル自体は強くないとは言え、油断はできん!
 内部に侵入されないよう、整備室に連絡を入れろ!
 それでは、行くぞッ!」
「「「「了解っ!」」」」

クリスの号令に、機士(ハイランダー)たちがデッキを後にしようとしたその時だ。

ビーッ!ビーッ!

「!?」×5
「たっ、大変です、クリス様!ポリゲム山脈の国境付近で敵軍の侵入を確認!」
「・・・っ!何だとっ!?」

通信兵の言葉に驚きを隠せないクリス。
問題が2つ同時に起こっただけでもやっかいだが、最悪なのはその問題が起こったポイントだった。
ヒメイルの町とポリゲム山脈は東と西、正反対の位置にある。
つまりどちらか1つを犠牲にするか、二手に分かれていくか、選択をしなければならないのだ。
二手に分かれれば、2つの問題に同時に対処できる。
しかしその反面、戦力の低下は否めない。
将来を見据えれば、町を見捨てて国防に向かうことが最善なのだが・・・。
苦しい選択。クリスはいったいどんな判断を下すのだろうか?

「・・・よし!まず我々はヒメイルに向かう!
 魔獣撃退後、速やかにポリゲム山脈に移動!
 敵軍を殲滅作戦に移る!我々が到着するまで、国境警備隊に何としても時間を稼ぐように伝えろっ!」
「お、お待ちくださいっ!
 ヒメイルとポリゲム山脈は位置が正反対!
 王子たちにかかる負担もかなりのものになります!
 ここは町を見捨てるか、部隊を2つに割るべきでは!?」

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