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グラディエイター
官能リレー小説 - ファンタジー系

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グラディエイター 37

そのため機士は日頃からメイドを抱いて、精力の底上げをするのが一般である。
なのにこのシェルという男は、アイナ以外の女を抱こうとしない。
彼は妊兵であるアイナを、生涯の女と決めているためだ。
ここにいるメイドたちは、それを知ってなお、彼に仕えてくれるメイド中のメイドとも言うべき存在なのである。
彼女らはシェルの気持ちを汲んで、できる限りのサポートを行ってきた。
しかしやはりどんなことをしても、訓練不足は否めない。
それゆえにメイドたちは叱責を受けることを覚悟で、時折こうして説得しようとしているのである。
シェルは詳しい話はしないが、アイナに特別な想いを抱いていると言うのはメイド達も理解はしている。
だが、精力を向上させなければ機士としては致命傷…
遅かれ早かれ、任務で死ぬかアイナに搾り殺されるかしかねない状況なのだ。
メイド達が必死なのもそう言う理由からだ。

特に今日こそはと覚悟を決めたメイド達の懇願は何時もより必死だった。
シェルはそんなメイド達をみて微笑む。
それは悲しみと自嘲に満ちた微笑みだった。
「僕に君達が奉仕する程の価値はないかもしれないよ…」

自嘲するような言葉にメイド達は一斉に悲しそうな表情で首を横に振る。
ここに居るメイド達は、シェルの優しさや一途さ、そして国家やクリスに対する忠誠心を知っている。
若くまだ未熟と言えても、将来は国家を背負う機士になるだけの素養は、贔屓でなくシェルにはある。
自分を貶める必要など、どこにもないのだ。
シェルもそう言ってみたものの、メイド達の普段以上のただならぬ雰囲気に、重い口を開く。
「僕は、君達が思っている人間じゃない…最低の男だ…」

愛と憎しみ故に、彼が背負った十字架…

アイナしか求めぬシェルだが、その二人の関係は相思相愛と言う訳でない。
むしろギクシャクしている。
お互い、互いへの愛情はあるがどこかよそよそしさもあり、愛情以外の何かがはっきりと見える。
それは…憎しみに近いようにも感じられた。
シェルの自嘲は、そんな関係の一端なのだろう。

「僕は、彼女の幸せな家庭…夫と子供を彼女から奪った…僕自身が望んでね…」
シェルは過去を誰にも明かさない。
心の闇を、その内に抱えて…

彼の自嘲と、誰も入れないような闇にメイド達は言葉すら発する事ができなかったが、ミリーと呼ばれたメイドが、シェルの旁まで来ると、無理矢理にシェルを豊満な胸に抱き寄せる。
「んつっ?!!」
「だから何だって言うんですかっ!!…シェル様が最低だろうと何だろうと、私達がシェル様に抱かれたいだけですっ!…シェル様はご自分がどうとか考えずに、私達に股を開けとご命じになれはいいんですっ!!」
突然のミリーの行動に驚くシェルをミリーはしっかり抱き締めたまま、一気にまくしたてる。

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