グラディエイター 30
「さ、どうぞお入りください。今日は誰もおりませぬゆえ・・・♪」
「・・・・・・っ(ガクッ)」
部屋に着くなり、いきなり希望を絶たれたアルトはこの世の非情さを恨めしく思いながら歩き出す。
気分は13階段を上る死刑囚だ。
せめてこっちは疲れているし、Hされることだけは避けようと部屋に入ったその時だった。
「あら、お帰り。遅かったけど何かあった・・・の?」
「ぱ、パンナ・・・!」
「え・・・?あぁッ!?な、何であなたが部屋にいるのよ!?
あなたまだ仕事中でしょ!?」
驚きのあまりに叫ぶノティムと、蜘蛛の糸を見つけたかのように顔を輝かせるアルト。
普段なら絶対に彼女相手に喜んだりはしないのだが、この時ばかりは感謝せずにはいられなかった。
パンナ=フールセティア。
ノティムのルームメイトである彼女は、数いるアルト派の中でも危険人物と目される暴走メイドなのであった。
彼女いわく『かわいいものを見ると、まわりが見えなくなっちゃうんです』とのこと。
突然降って湧いた幸運に、パンナは案の定暴走を始めた。
「きゃああぁぁんっ♪アルト様ぁっ♪♪」
全身からラブラブオーラを振りまきながら、アルトを抱きしめようと飛び込むパンナ。
捕まったら最後、身体を宙に浮かせた状態で大きさ・やわらかさともに秀逸のそのおっぱいで、窒息寸前まで抱きしめられるのだ(もちろん回転つき)。
しかしアルトをそんな危険な目には合わすまいと、すばやく間に入ってアルトを保護する。
その瞬間、2人の間に流れる空気の温度が下がった。
「・・・何の、つもりよ?」
「アルト様をお守りするための当然の措置よ。
アンタにアルト様を渡したら、ストレスで死んじゃいかねないでしょうが」
バチィッ!
小さいアルトはわからなかったが、その瞬間、間違いなく2人の間で火花が飛び散ったと思う。
「さ〜、アルト様?ここは危ないですから、別のところで楽しみましょうね」
「なっ!?何言ってんのよ!?
危ないのはむしろアンタのほうでしょうが!?」
「むぐぅっ!?」
そう言って立ち去ろうとしたノティムから、すばやくアルトを奪取するパンナ。
体重の軽いアルトはいとも簡単に持ち上げられ、パンナの巨乳の谷間にずぶずぶと沈んでいく。
「ちょッ!?何やってんのよっ!アルト様を返してよっ!?」
「うわふっ!?」
すると激昂したノティムがアルトを取り返して自分の胸の谷間に押し込める。
もはやとどまることを知らない女の戦いに、子供のアルトは振り回されるばかりだ。