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グラディエイター
官能リレー小説 - ファンタジー系

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グラディエイター 27

彼女達の一番人気はクリスなのだが、彼と結婚できる可能性はかなり低い。
だから、クリスを想いつつも諦めて他を狙う娘や、そもそも身分違いで憧れだけで恋愛感情すら抱けぬ娘は、必然的に他の機士に熱い視線を送る訳である。
そんな彼女達の目下の一番人気は、威丈夫のディオでも美少年のシェルでもない。
最年少のアルトだった。

彼がまだ幼いと言う打算もあるだろうが、年上程アルトの食べちゃいたい程の可愛さにノックアウトされる傾向が高かった。
普段の態度を含め、彼は天性の年上殺しなのだ。

女だけでなく、年長の男からも可愛がられているのもその証拠だろう。
それに、多少は『つまみ食い』しているディオやシェルよりポイントが高いのもある。
ジョアンの生意気で腕白な男の子らしいのもいいが、どうしてもアルトの可愛さには勝てない。
アルトのついでのような扱いなのである。
本人は当惑しているが、アルトの周囲には常に女の子達が集まり、彼は困って兄に助けを求めるのが常だった。

機士(ハイランダー)としての権限を使えば、よほどの相手でない限りたいていは追い払えるのだが。
まだ幼さの抜けないアルトには、まだその発想ができないのだ。
仮にできたとしても、迫ってくる女性たちすべてが欲望丸出しでいるわけではない以上、むげに扱うこともできないだろう。
だからアルトは平時のときはたいてい他の誰かと一緒にいようとする。
この日もいつものようにメイド達の目を気にしながら、ある場所に向かっていた。

「・・・・・・(キョロキョロ)」

花瓶の飾られた棚や柱に身を隠し、時折顔をのぞかせながら移動を繰り返すアルト。
本人はどこぞの忍者やスパイみたいに機敏に動いているつもりなのだろうが、傍目にはリスかウサギのような小動物のようにしか見えない。
迫ってくる女の子に怯えるその表情は恐怖を浮かべているはずなのに妙にかわいらしく、彼の周囲になぜ女の子が集まってくるのかが何となくわかってしまう。

(後少し・・・後少しでお母さんたちのところに行けるっ・・・!)

今アルトが向かっているのは彼の母たちのいる妊兵収容室。
避難場所兼憩いの場所としてよく通っているところだ。
妊兵(ダイナモ)は奴隷以下の存在として嫌われているため、彼を狙ってくる女性もなかなか入ってこないのだ。
何より優しい母や姉たちと一緒にいられるのは、アルトにとって心のオアシスみたいなところである。
そしてアルトはそのオアシスの一歩手前のところまでやってきていた。
後は遠くに見えるあの鉄の扉を潜り抜けてしまえば、女の子たちの追跡を逃れられる。
アルトが緊張の面持ちで最後の確認を行おうとしたそのときだった。

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