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グラディエイター
官能リレー小説 - ファンタジー系

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グラディエイター 25


「・・・わかりました。現地の機士たちによるパトロールを強化しておいてください。
 敵勢力が明らかに越境や攻撃をしてしない限り、くれぐれもこちらから手を出さないように。
 心配はないかと思いますが、もし手に余るようでしたら我々が応援に向かいます」

クリスは表向き、平然とした様子で指示を飛ばすと部下に『後を頼みます』とだけ伝えてその場を後にした。
これ以上、あの場に留まって嫌な思いをするのは限界だった。
早く自室に戻ってゆっくり休みたい。
クリスは心の底からそう思っていた。
クリスが自室に帰ると、一人のメイドが頭を下げてクリスを迎える。
彼女はフィオナ…
クリスの乳母の娘で、彼の専属メイドだった。
「お疲れさまです、クリス様」
そう言う彼女の落ち着いた声は、クリスの心をそれだけでも少し癒す。
軍服の上着を脱がし、それをハンガーにかける後ろ姿だけても、ようやく全て解放された気分になれた。
「随分と魔獣が多い…また、マリーに負担をかけてしまう…」
フィオナに言った所で仕方無い話だが、思わずそんな愚痴が出てしまう程、クリスはフィオナを信頼していた。

「マリアンナ様…必死に頑張っていらっしゃるのに…」
クリスの着替えをしながら、フィオナはそんな風に答える。
彼女だけが変わらずマリーに接しているが、彼女のような人間は少数派だ。
クリスの母である大公妃は、娘のマリーの事を穢れ物のように忌み嫌っているが、こちらの方が普通の反応なのである。
フィオナのそんな優しさと落ち着きは、クリスにとっては丁度良い癒しで、こんな他愛も無い会話だけで心が落ち着いた。


「心配させてすまないね。マリーのほうはどうしてる?」
「今は自室で休んでおられます。・・・お呼びいたしますか?」

フィオナは気を利かせてそんな提案をしてきた。
普通、操機兵(グラディエイター)に乗った直後の機士(ハイランダー)は、どんなに絶倫でも精を吐き出して女を見ようとも思わなくなるのが普通であるが・・・。
クリスたち特別機に乗る5人もまた特別な機士であった。
性行為は無理でも、話したり一緒に寝たりと日常生活をするくらいならできるのだ。
中でもクリスは特別で、操機兵に乗った後でも女を抱けるほどの精力を誇る。
常に国のために心休まる時間の少ない彼にとって、何の打算もなく自分を慕ってくれるマリーの存在は何よりも癒してくれる貴重な存在なのだ。
だがクリスは面食らったかのように少し間をおくと、苦笑しながら首を横に振った。

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