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グラディエイター
官能リレー小説 - ファンタジー系

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グラディエイター 23

クリスの言葉に機士達は敬礼して解散となる。
この後、機体の状況や問題点を開発陣のアルケミストと話し合って彼らの任務は終わる。
クリスだけは司令官としての仕事…戦闘の疲れを感じさせず、ブリッジに向かった。

ブリッジでは、飛空艇艦長のエルドアンがクリスを待っていた。
実直で経験豊かな艦長で、クリスも信頼を寄せている。
「どうです?、状況は…」
「はっ、殿下…殿下の申された通り、魔獣に大量繁殖の兆しが見えますな…」
エルドアンの報告に、クリスは美しい眉を少しひそめる。


(やはり・・・)

クリスは自分の複雑な心境を表に出さぬよう、無表情の仮面をかぶりなおしながらそう思った。
ここ最近魔獣が原因の出撃が多かったことから、その可能性を懸念していたのだが、その嫌な予感が見事に当たってしまったようだ。

「それで?増殖している魔物の種類や規模は特定できているのですか?」
「は。わかっているだけで数種類の魔獣を確認しております。
 現在人間の手で処理可能なものは、私の手のものがやっておりますが・・・。
 近くまた、クリス様たちのお力をお貸しいただくことになるかと思われます」

魔獣と一言に言っても、その種類は驚くほど多い。
イグネシアンのように、死体を有効利用できるものなどまだマシなほうで、凶悪なものになると人間より小さな核が近くの生命体を取り込んで雪ダルマ式に成長していく『タカーマリー』、自身の生き死にに関わらず周囲に毒を撒き散らす有害生物『クドバッカ』なんてものもいる。
人類の日々の進歩によってある程度なら、グラディエイター(操機兵)に頼らず片付けられることもあるが、8〜9割はグラディエイターの力に頼っているのが現状だ。

「・・・そうですか」

エルドアンの報告に、クリスはまたマリーたちに負担をかけてしまうことと自身の無力さと怒りでそう答えるのがやっとである。
出撃の回数が増えれば、それだけマリーたちをあの快感地獄へ落とす回数が多くなる。
ただでさえ人間扱いされずにひどい扱いを受けていると言うのに、これ以上休む間隔が短くなればどうなるか。
クリスはそのことをよく理解していた。
だが今の自分に、妊兵たちの生活を改善させる力はない。
そのためには少しでも功績を挙げて、力をつけなければならないのだ。
妊兵を助けるために妊兵を消耗する。
この矛盾した話に、クリスはいつも苦しめられ続けていた。
その苦しみを少しでも忘れたくて、目をそらしたくて。
クリスは次の不安要素について確認することにした。

「・・・他国の動きのほうはどうなっていますか?」

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