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グラディエイター
官能リレー小説 - ファンタジー系

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グラディエイター 18

ひどいところになると、いつ死ぬかわからない日々に怯える国民の鬱憤晴らしのために使われるところさえある。
死ぬことすら許されず、道具として犯され続けるのは女として人間としてどれだけつらいことか。
だからこそ彼女たちはお互いに助け合い、そのつらさを共有しながらも生きていけるのである。
何よりもマリーたちには同じ妊兵以外にも生きる希望があった。
それは、パートナーの機士達の存在だった。
他国では機士と妊兵は、あくまで主人と奴隷としての関係で、多少の情はあっても基本は所有物に対する愛着程度なのである。
それどころか、機士が妊兵に情をかける事すら禁止している国さえある。
だが、グラーナの場合はパートナーはほぼ近親者…情や絆の強さは他国とは比べ物にならない。
それが彼女達妊兵の支えになるぐらいだ。
他国に比べダイナモの性能が良いと言われているのも、人種や魔操晶の性能でなく、その情や絆が産む彼女達の希望がそうさせているのかもしれない。

ただ、神に背くとも言われる禁忌を一人で背負う事になるグラーナの妊兵は、他国以上に嫌悪と侮蔑の対象なのだ。
先程の酷い扱いなんて序の口だ。
口では慣れたと言ってるものの、ささやかながら幸せな生活から待っていたのが畜生以下の扱い…絶対に慣れれるものではなかった。
毎日、彼女は日課のように屈辱と恥辱で涙を流すのであった。

そんな時、中心にいるのがママさんことミリアである。
元来世話好きで、三人の子供を育ててきた彼女は、近所の子供まで面倒を見てきたぐらいだった。

今は妹や娘のような妊兵達に頼りにされ、それが彼女の心の救いになっている部分もある。
ミリアに寄り添い泣く彼女達をあやしながら、荒っぽく拭かれた髪を一人ずつといてやる。
例え人間以下の身分であれ、彼女達は女の子である。
唯一のオシャレである髪をいじるしか、彼女達の楽しみはない。
だからミリアは全員の髪を念入りにといてやる。
する方もしてもらう方も現実の辛さを忘れれる瞬間だった。
「同じ女だから…髪ぐらい綺麗に拭いてくれたらいいのに…」

ミリアがアニータの美しい髪をときながら言う。
アニータもママなのだが、そのアニータをもってしても、ミリアは母親のような存在だった。
弟のように可愛がっていた甥がパートナーとは言え、愛する夫と子供達に囲まれた幸せな家庭を奪われた彼女にとって、ミリアの包み込むような母性は心の救いであった。
「同じ女だから…あたし達なんかケダモノにしか見えないのよ…」
髪をとくミリアの膝を枕替わりにするアイナがボソリと呟く。
こうなる前から禁忌を犯していた彼女には、心当たりがあるのかもしれない。

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