PiPi's World 投稿小説

グラディエイター
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 13
 15
の最後へ

グラディエイター 15

多くの人命が失われてもなお、世界各国が操機兵にこだわってきたのは、それだけこの兵器の力が強力で、国を守るためになくてはならないものだったからだ。
冷却水バルブを全開にして機体を冷やしているにもかかわらず、絶え間ない絶頂に喘ぐ母ミリアの様子に、思わず舌打ちしてしまうジョアン。
彼女の言ったとおり、思ったとおりの成果が上がっていないのだ。
こうなっては仕方がないと、ひとまず距離をとって機体を休ませようと操縦乳を操作するジョアン。
だが仲間をやられ、怒り狂ったイグネシアンがそれを許さなかった。
群れの中の1頭が、オーバーヒート気味で動きの鈍くなった4号機に猛然と突っ込んできたのだ!
逃げようにも今の機体では回避が間に合わない。

「しまっ―――ッ!?」

やられる。ジョアンがそう思ったその時。
迫り来るイグネシアンの頭上へ何かが激突した。
アルトの5号機が、ジャンプして勢いよくイグネシアンの頭に大刀を突き立てたのだ。
基本スペックではパワー不足の5号機であるが、重力を味方につけた一撃は強力であった。
頭を貫かれたイグネシアンは頭から血と脳漿の噴水を撒き散らせながら、4号機に当たる手前で倒れた。
「助かったぜ、アルトっ!」
「お兄ちゃんっ!!、無茶しすぎだよっ!!」
スピード重視の5号機はこんな遊撃戦なら力を発揮する。
アルトは5号機をイグネシアンの死体の上から飛び降りさせると、すぐに油断無く構える。
そして姉のソフィアに対して声をかけた。
「お姉ちゃん、大丈夫?・・・」
普段は優しい少年であるアルトは、先ほどの攻撃で激しく絶頂した姉を気遣う。
機士と妊兵の関係になるついこないだまでは、甘えん坊で泣き虫なアルトは姉の後ろばかりをついて歩いていた。
そう簡単に関係は変わらない。

「駄目よアルトっ!・・・お姉ちゃんの事はいいからっ!!」
兎に角、弟を守っていたソフィアは、あの頃と変わらずアルトを叱咤激励する。
機士としての素質は誰もが認めるが、気弱な性質で優しすぎ、姉の調教すら泣いて十分にできないこともある。
その度にソフィアがアルトを励ますのだ。
まだ幼いアルトには過酷な運命なのだが、この中で精一杯生きるしかこの姉弟に道は無い。
それでもアルトは涙目になりながらも気丈に、動きの鈍る兄を庇おうとしていた。


そんな兄弟を討たせぬとばかりに、他の3機は奮闘していた。
1号機、クリスは盾でブロックしながら、必要最低限な動きでイグネシアンの首筋を貫く。
2号機、ディオは四本の脚を全力駆動させ突進し、横っ腹に槍を突き立てる。
3号機、シェルは空中からボウガンで牽制し、そのままランスを構えて空中からイグネシアンの背中にランスを突き立てる。
4号機が戦闘不能状況と言えど、彼らがイグネシアンの群れを倒すのに、さして時間はいらなかったのだ。



SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す